相談事例「敷金返還の求め方」

2年間借りていたアパートを退去しました。立会いの時に、クロスの一部傷は指摘されましたが、それ以外はとてもきれいですねと言われました。後日管理会社から、クロスの全面張替え費用とハウスクリーニング代を請求されました。クロスは0.5センチほどの傷が1箇所あるだけで、全面張替えは納得できません。また日常の清掃と退去時には大掃除をしています。とてもきれいですといわれたのに、ハウスクリーニング代を支払う必要はあるのでしょうか?契約書には特約として「退去時のハウスクリーニング代は借主負担」と書かれています。

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「敷金返還までの流れ」イメージ

 

①退去時に貸主(管理会社)と部屋の確認

借主は退去時に、汚損・破損箇所を写真に撮り、メモしておきましょう
立会い時に借主、貸主側双方で、部屋の汚損・破損箇所の責任の所在を確認し、確認事項をメモしておきましょう

 

②貸主(管理会社)から見積書の送付

立会い時の確認事項と見積書の内容を比較検討しましょう

 

③原状回復のガイドラインを基に原状回復費用を算出し見積書と比較検討

原状回復のガイドラインの考え方の基本は、故意・過失は借主負担で、経年変化を考慮します(例:クロスにおいては6年で10%の残存価値になる)
契約書に記載されている特約の内容をよく見直しましょう。入居時にきちんと説明を受けた場合は、納得して入居したことになります。しかし著しく消費者の権利を制限し義務を負担する特約は、無効と言える場合もあるので、当相談室にご相談ください


【特約の要件】

  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
    *上記3つを満たしていると、無効とはいえなくなる可能性があります。
    ・②を踏まえた上で原状回復費用を算出しましょう

 

④貸主と話し合う

  • 退去の立会い時に借主と貸主双方が合意した内容と、原状回復のガイドラインと比較して過分に請求されている修理代について、貸主と話合いましょう。
  • 話合いのポイントとして、借主は、故意・過失による汚損・破損箇所の適正な修理代の負担を認めたうえで、納得できない修理代について減額交渉しましょう。

 

⑤話し合いが不調の場合は内容証明郵便を送る

  • ガイドラインの考え方とそれに沿って算出した金額、返金日と返金口座を記載し、内容証明郵便で契約書に書かれている貸主宛に送付しましょう。

 

⑥少額訴訟(60万円以下)

  • 家主に対して求める金額が60万円以下の場合は、少額訴訟を提起しましょう。
  • 管轄裁判所は、契約書に載せている場合がありますので確認しましょう。定めがない場合は、貸主(被告)借主(原告)どちらの住所地の裁判所でも起こせます。

 

分からないこと、不安なことがある場合は、消費者相談室《03-3265-8135》まで!