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申し入れ・要望

《「消費者基本計画」に関する意見書》
2004年11月5日


 「消費者基本法」は消費者政策の推進に関する基本的な計画(消費者基本計画)の策定を政府に求めています。この基本計画は内閣総理大臣を会長とする「消費者政策会議」が「案」を策定するものですが、消費者基本法で「案を作成するときは国民生活審議会の意見を聴かねばならない」と定めており、現在、同審議会で検討が進められています。

 主婦連合会は、「消費者基本計画」が消費者政策の中長期的方針とその具体的政策を盛り込んだ消費者行政の今後の「指針」と位置付けられることから、消費者の意見が十分反映された、実効性ある内容となる必要があると考え、以下のように意見を述べます。


1.消費者基本計画の基本的な考え方
 8つの「消費者権利」を定めた「消費者基本法」は、「消費者の権利を尊重」し、「消費者の自立を支援」し、「その他の基本理念にのっとり」、消費者政策を推進することを「国の責務」として明記しています。また、「消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策」を「消費者政策」と位置付け、その推進を謳っています。そのため作成される「消費者基本計画」は少なくとも次の点を「基本的な考え方」とすべきです。

1 消費者基本法で定められた方向性を具体的に実現する施策を盛り込むこと(消費者基本法の基本理念の実現)

2 基本法は「国は基本法の目的を達成するため、必要な関係法令の制定または改正を行わなければならない」と明記している。従って個別的な消費者関連法の制定・改正を前提とすること(関連法律の制定・改正)

3 2003年5月の「21世紀型消費者政策の在り方について」で提案された施策方針を最低限盛り込むこと。同報告書がまとめられて以降も深刻な消費者問題が発生しており、それらの施策対応も明記すること(優先施策・重点解決課題の選定)

4 内閣府では「消費者基本計画」を「5年間の政策方針」と位置付けているが、毎年の検証、評価、監視のあり方を盛り込み、必要とあれば、5年を待たずに計画の見直し・再編の実現も保証することが明記されること(検証・評価・監視と計画の見直しの確保)


2.施策の基本的方向及び具体的施策の内容

 消費者基本計画は、消費者基本法に沿って、消費者利益の擁護・増進に関する総合的施策が盛り込まれるものです。主婦連合会が求める必要な施策は次の通りです。

●「安全の確保」(第11条関連)
 消費者基本法には安全を確保するために「商品及び役務についての必要な基準の整備及び確保」「安全を害するおそれがある商品の事業者による回収の促進」「安全を害するおそれがある商品及び役務に関する情報の収集及び提供」等、「必要な施策を講ずるものとする」と明記されています。安全の確保については食品、家庭用品はじめ消費者の身の回りの製品全般に関する信頼感が揺らいでいます。信頼回復と安全性確保へ向け、次の施策を求めます。
1 食品を含む消費生活に関連する全製品を対象としだリコール制度の導入(リコール制度の拡大・ペナルティーの強化等)
2 製造物責任法の改正(推定規定・証拠開示規定等)
3 製造者・販売者など、事業者による危害・危険情報の報告義務付け
4 危害・危険情報の共有化
5 回収社告の是正、規格化
6 消費生活関連製品の危害・危険情報、事故防止策情報などを一元的に監理・提供する「事故防止情報センター(仮称)などの創設

●「消費者契約の適正化」(第12条関連)
 基本法では、「事業者による情報提供」「勧誘の適正化」「公正な契約条項の確保」等、必要な施策を講ずることを国に求めています。それに沿って次の施策を要求します。
1 消費者団体訴訟制度(団体訴権)の導入
2 個人情報保護法全面施行ヘ向けての体制整備(個人情報保護の実現)
3 消費者契約法改正(契約取消・無効要件の拡大等)
4 特定商取引法の抜本的改正=「商品指定制度」の見直し・廃止
5 金融商品販売法の抜本的改正、金融サービス法の制定(対象商品の拡大、消費者権利の確保等)
6 統一消費者信用法の制定(割賦販売法、出資法、利息制限法等)
7 不招請勧誘を禁止する制度の導入
8 各業法の運用強化、違反・悪質事業社名の情報提供(公表)制度の整備
9 「公正な契約条項を確保する施策」として不当条項監視機関の設置

●「計量の適正化」(第13条関連)
 現在実施されている各自治体による計量検査、内容量適正化検査では、表示と内容重量に大きな差があることが指摘されています。また健康志向を背景に健康機器など自己認証に基づく新たな計量器機が続々と登場し、消費生活に重要な位置を占めるようになっています。近年、これら計量をめぐる様々な問題が発生しています。次の点を求めます。
1 計量法の抜本的改正
2 適正な計量の実施ヘ向けた違反事業者の公表制度

●「規格の適正化」(第14条関連)
 消費者基本法では商品・役務について適正な規格を整備し、その普及を図るとしています。規格の整備については、「規格は消費者のためにある」との原則的視点を重視し、策定に当たってまず消費者の意見が反映されることが必要です。そのためには少なくとも次の施策が必要です。
1 ISO・JIS・JASへの消費者意見の反映
2 規格の意義についての普及、消費者活動への支援
3 商品規格のみならず役務(サービス)規格策定の推進
4 回収・部品交換などの「回収(改修)社告」の規格化

●「広告その他の表示の適正化等」(第15条関連)
 虚偽・誇大広告など、不当表示が横行しています。表示に対する消費者の信頼を回復するために2003年〜04年にかけて相次いで策定・制定された制度の活用を要求します。早急に次の施策を導入し「売り得・買い損」の状況を是正すべきです。
1 JAS法、食品衛生法、景品表示法、特定商取引法、健康増進法等に基づく制度の積極的活用と運用状況に関する消費者意見の反映
2 自治体への権限付与(景品表示法や健康増進法に関する違法性の判断と処分等)
3 違反事業者による不当利得を社会に吐き出させる制度(不当利得社会還元制度)の導入

●「公正自由な競争の促進等」(第16条関連)
 消費者基本法は、「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の拡大を図るため」「必要な施策を講ずるものとする」と明記し、「重要度の高い商品及び役務の価格等」であって、「決定、認可その他の国の措置が必要とされるものについては」「消費者に与える影響を十分に考慮するよう務めるものとする」としています。そこで次の点を求めます。
1 重要度の高い商品・役務の価格について消費者の意見が反映される制度の整備

●「啓発活動及び教育の推進」(第17条関連)
 消費者基本法では、「学校、地域、家庭、職域その他の様々な場」で、消費生活に関する教育の推進を国および自治体に求めています。推進にあたっては次の施策が必要です。
1 消費者団体、市民団体、消費生活センター、消費者教育支援センターなどが連携して消費生活に関する教育を推進していく体制の整備及び支援(講師の育成・派遣、学習テキスト・資料の作成等)
2 「職域」での消費者数育・環境教育の充実ヘ向けた体制整備(企業啓発等)

●「意見の反映及び透明性の確保」(第18条関連)
 消費者基本法に明記されている「国は消費者の意見を施策に反映させること」「施策策定の過程の透明性を確保すること」を実際に実現させていくことが必要です。そのためには次の施策が必要です。
1 パブリックコメント制度の見直し・改善(消費者の意見を適正に反映させるパブリックコメント制度の導入)
2 パブリックコメントの範囲の拡大と消費者にとっての使いやすさの確保(インターネットツール主導の再検討)
3 消費者の異議申立権を保証した制度の導入(意見に対する行政の回答義務、意見が採り入れられない場合の制度対策)
4 公聴会・ヒアリングの実施の確保

●「苦情処理及び紛争解決の促進」(第19条関連)
 複雑・多様化する消費者苦情への対応と迅速な被害救済を図るために、以下の施策を求めます。
1 消費者相談・苦情受付窓口の拡充・増設
2 相談員の配置人数の増加
3 自治体の消費者被害救済委員会の活性化(付託要件の緩和)
4 苦情事例の多い事業者に対する公表制度の導入(公表規定の見直し)

●「高度情報社会の進展への的確な対応」(第20条関連)
 通信手段の高度化に伴う複雑で専門的な技術を駆使した消費者問題が急増しています。インターネットや携帯電話の普及がめざましい中、国境を超えた新たなトラブルも増加しています。そこで以下の施策を求めます。
1 ユビキタスネット社会に対する啓発
2 インターネット、携帯電話を使った消費者被害防止策の策定

●「国際的な連携の確保」(第21条関連)
 消費者基本法では、国際化の進展に伴う消費者トラブルへの防止・解決に関する施策の実施を国に求めています。次の施策が必要です。
1 国際的消費者被害増加に対する情報収集・対策の強化(1府5省庁がすすめる国際消費者トラブル対策ネットワークの制度的定着・拡充・強化)
2 国際消費者関連情報の収集・提供を中心に担う機関である国際消費者情報センター(仮称)の創設

●「環境保全への配慮」(第22条関連)
 環境保全については消費者基本法の「基本理念」(第2条)にも盛り込まれています。理念を実現する施策となるよう次の点を要求します。
1 グリーンコンシューマー運動支援事業の積極化
2 学校・地減・家庭・職域などの場を通じた環境教育の推進・充実
3 環境ラベル制度の見直し・整備
4 環境関連法の改正(容器包装リサイクル法、家電リサイクル法等)
5 循環型社会構築ヘ向けた施策の実施(拡大生産者責任の導入・定着、デポジット制度の導入等)

●「試験・検査等の施設の整備等」(第23条関連)
 商品を対象とレた検査だけではなく、役務に関する調査研究活動とその結果の公表が求められます。具体的には次の施策です。
1 身の回り商品全般に関する試買検査体制の強化、その結果の公表
2 一般消費者からの試買検査申立の保証
3 役務内容に関するチェックガイドの作成

●「行政組織の整備及び行政運営の改善」(第24条関連)
 消費者基本法では国や自治体は「総合的見地に立った行政組織の整備及び行政運営の改善に努める」とされています。総合的見地に立ってもそこに何らかの権限がない場合は、現状のような縦割り行政が続きます。そこで次の施策を求めます。
1 消費者省の設置
2 消費者政策を総合的見地に立って推進する勧告権を持った組織の創設

●「国民生活センターの役割」(第25条関連)
 国民生活センターには相談苦情処理・あっせん、テストの推進、調査研究・提言、啓発・教育の推進など、多くの役割が期待されています。しかし、これら役割を実効性あるものとするために、次の点が求められます。
1 調査権や勧告権、調停機能の付与(国民生活センター法の改正)
2 悪質事業者に関する社名公表制度の運用強化(公表規定の見直し)


3.計画を推進するために必要な方策
 消費者基本計画は今後の消費者政策の指針となることから、実現ヘ向け、内閣府を中心に全省庁の積極的対応が求められます。また、「向こう5年」を射程に入れた基本計画ですが、消費者問題の急激な変化とその緊急な対応が求められることから、年度ごとに検証・評価・見直しが必要となります。その際は、消費者の意見を幅広く取り入れ、透明性を確保した険討が必要です。消費者基本法では、消費者政策会議が「検証・評価・監視」をすることになっていますが、実質的には国民生活審議会が中心となり、パブリックコメントを活用して消費者からの意見を求めながら実施することが現実的です。以上の点を踏まえ、計画を推進するために必要な方策として次の項目を要望します。

1 消費者基本計画は「5年」をめどに定められるとはいえ、年度ごとに検証・評価し、必要ならば見直しを図れるよう、期限については長いものでも「3年」とし、弾力的に位置づける。
2 検証・評価・監視については、内閣府国民生活審議会に各省庁の対応・実績を報告してもらい、同審議会で検討する。その結果と結果に基づく提言を消費者政策会議に提案する。消費者政策会議はその提言を尊重し、未実施の政策と課題について公表するとともに、関係省庁に実施を求める。
3 国民生活審議会の検討では定期的なパブリックコメントやヒアリングを実施し、幅広く関係者の意見を聞く。消費者基本法で明記された「消費者の権利」の一つである「消費者政策に反映される権利」を尊重し、実施されるパブリックコメン卜では消費者への回答や異議申立の制度の導入も検討する。

 以上

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[2004年10月15日]《独立行政法人国立女性教育会館の統合反対についての要望書》


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