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申し入れ・要望

≪消費者被害を助長・拡大させる「いわゆる健康食品」及び「保健機能食品」の規制緩和に断固反対します〜規制改革会議の答申は「消費者目線」ではありません〜≫
 2013年6月12日

 ≪内閣総理大臣、消費者担当大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長 宛≫

内閣総理大臣の諮問機関「規制改革会議」(岡 素之議長)は6月5日、最初の答申を安倍晋三総理に提出するとともに、同答申を踏まえ、今後、改革実現までの工程表を盛り込んだ「規制改革実施計画」(仮称)を策定・閣議決定するよう求めました。同答申は改革実現へ向け、様々な立場の関係者を「説得・調整」し、「構造を突破していくことが求められる」とし、規制緩和に反対する人々に対し「説得」するよう、政府に要請しています。

主婦連合会は、同答申には、多くの課題が散見し、同答申に沿った施策推進には賛同しかねる項目があることを指摘しておきたいと思います。その最たる分野が「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」です。

「答申」に明記された、いわゆる健康食品をはじめとする食品表示の各種大幅規制緩和策は、規制改革会議の一つの目標である「世界で一番企業が活動しやすい国」へと日本を転換することはあっても、同会議のもう一つの目標である「世界で一番国民が暮らしやすい国」とは相反する方向性を示すものと考えざるを得ません。答申は、消費者被害の実態から目をそらし、企業活動のみを優先させ、「消費者目線」とは相容れない、「消費者目線」を欠如させたものと思わざるを得ません。

政府をはじめ、関係各省庁は、健康食品に関する同答申に沿った措置は、消費生活をますます混乱させ、消費者被害を助長・拡大させるものであることをしっかりと認識すべきです。

また、消費者委員会にあっては、同委員会が提起した今年1月の「健康食品の表示等に関する建議」が、今回の答申にあっては、建議項目の都合のよい部分だけを「つまみ食い」され規制緩和策として利用されている事実を直視し、特定保健用食品(トクホ)の「更新制度導入」を求めた同委員会の意見などが完全に無視されていることなどに強い警戒感を持つべきです。その上で消費者委員会は内閣総理大臣に対し早急に事態の改善を求め「勧告」すべきであると考えます。

主婦連合会は、以下の理由から規制改革会議の答申に示された「いわゆる健康食品」および「保健機能食品」の表示制度の大幅緩和に反対するとともに、関係各大臣等に改善点を要望します。

 

【健康食品等をめぐる答申の全般的問題点】

1.「消費者目線」が欠如しています

本来、消費者にとっての規制緩和とは、規制の緩和によって、「安全性・有効性」が従来と比べ、同等あるいは、それ以上となる措置を伴うことを前提としています。ところが、同答申での「いわゆる健康食品」等の分野をめぐっては、「安全性・有効性」を後退させるだけの内容となっています。企業活動に軸足が置かれ、「消費者目線」が欠如しており、消費生活の「安全・安心」は保てません。

2.「国際先端テストの実施」の視点は矛盾しています

答申は、「国際先端テストの実施」を提唱しています。これは「世界で一番企業が活動しやすい国」と「世界で一番国民が暮らしやすい国」を同時に構築するために、個別の規制の必要性・合理性について、国際比較に基づき検証するものとされています。「いわゆる健康食品等」の分野をめぐっては、項目の全てがこの対象に位置付けられていますが、そもそも「企業が一番活動しやすい国」であることと同時に「国民が一番暮らしやすい国」であることを検証することは不可能です。答申の健康食品等をめぐる項目では、「企業が活動しやすい国」への規制緩和策だけが提唱されており、「国民が暮らしやすい国」は規制緩和を合理化するための美辞麗句に過ぎません。

3.答申は、年間1万件台の消費者苦情相談の実態を全く省みていない「机上の空論」に過ぎません

答申は、現行の健康食品等の問題として規制面からのみ論評されており、各地の消費生活センターに過去5年間だけで年間1万2千から1万5千件の範囲で消費者苦情相談が寄せられ続けていることを全く踏まえていません。健康食品等の分野での消費者トラブルには「健康被害」と「財産被害」及びそれらが重複した深刻被害例があり、現状を正しく見るならば、それら被害防止へ向けた新たな規制策の導入、その必要性こそが指摘されねばなりません。この視点がないままの大幅規制緩和は、現行の各種トラブルを放置・助長させることにつながり、悪質事業者の違法行為を合法化させることにつながりかねません。

 

【健康食品等をめぐる答申の個別的問題点】(答申P54〜P57)】

1.「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」について

答申は、この「容認」について今年度から検討し、平成26年度に結論を出すよう政府に要請しています。これはトクホや栄養機能性食品制度とは別の「第3の機能性表示」を認める方向性を示したものであり、しかもその表示を「国ではなく企業が科学的根拠を評価した上で、企業の責任において表示する」ことを認めるよう求めています。

しかし、機能性表示は食品の信頼性にかかわる問題であり、企業による自己評価を前提にした制度は、混乱のもととなります。現在も問題・課題が多いトクホと栄養機能食品の制度導入に関する歴史的経緯も軽視する措置です。

2.「サプリメント等の形状による無承認無許可医薬品との判別の廃止」について

答申は、トクホの認可では「形状規制がすでに廃止されているものの、錠剤・カプセル等形状のサプリメント等については、実態として、申請が認められないケースがある」とし、「現行の特定保健用食品制度(トクホ制度)において、錠剤・カプセル等形状の食品(サプリメントを含む)を認めることを改めて明確にすること」と求めています。

しかし、錠剤・カプセル・濃縮型等のサプリメントは、その形状(容器形状を含む)から医薬品との誤認や、過剰摂取等の可能性が指摘されており、また、医薬品との併用や2種類以上の併用による健康被害の可能性も指摘されています。トクホに認可申請する際には、そのような健康被害防止の観点からも総合的に検討されることは当然です。答申は現行制度を「改めて明確にすべき」としつつ、各都道府県の衛生主管部等に、「周知徹底を図る」よう要請していることから、現行以上の制度の緩和を招くものとなり、問題です。

主婦連合会は、錠剤・カプセル型・濃縮型等のサプリメントについては、「届出制度あるいは登録制度」等の規制強化こそが必要と考えます。

3.「食品表示に関する指導上、無承認無許可医薬品の指導取締りの対象としない明らかに食品と認識される物の範囲の周知徹底」について

答申は、「外観、形状等から明らかに食品と認識されているものについて指導を受けたケースがある」と指摘し、厚生労働省に対し「取締りの対象としない範囲について明確にし、周知徹底すること」と求めています。また、消費者庁に対し、「虚偽誇大な表示等に該当するかどうかの指導を行なう際に、薬事法における指導取締りの内容との齟齬(そご)がないよう、各都道府県等の衛生主管部等に、虚偽誇大な表示等に該当するものの指導の根拠等について周知徹底する」ことを求めています。

これらは法執行をめぐる根拠の明確化を政府に要求したものですが、この要求それ自体が、各都道府県及び衛生主管部等の法執行を萎縮させるものです。私たちは、違反表示が横行する中で、法執行が伴わない、いわば放置状態にあることが消費者被害発生の重大な問題の1つと考えており、答申の内容・方向性は、実態を精査しない論理であり、消費者被害を一層拡大させるものと考えます。

4.「消費者に分かりやすい表示への見直し」について

答申はトクホと栄養機能食品の表示が「極めて限定的に、固定的な表現しか認められておらず、消費者に分かりにくい」と指摘し、表示の見直しを図ること、併せて「法・制度ごとにある現在のガイドラインやパンフレット等を医薬品との判別も含めて食品表示全般に係るものとして一本化すること」と求めています。

しかし、この「一本化」が、表示の規制緩和を促す視点でなされることが明らかである以上、問題が多い提案です。現在のトクホや栄養機能食品の許可表示については、これまで政府は科学的根拠に基づき策定されたものと説明してきました。答申の要求は現行制度の根幹に触れるものであり、その視点・方向性から、私たちは反対を表明します。

5.「特定保健用食品の許可申請手続きの合理化・迅速化」について

答申は、トクホについての申請から許可に至る期間が長すぎて、中小規模の企業にとっては、「費用面からも実質的に取得が困難と言われており、制度が有効に機能していないとの指摘がある」として、トクホの許可申請手続きについて「有効性及び安全性の確認を前提として、審査の合理化、迅速化を図り申請企業の負担を軽減すること」と求めています。

しかし、トクホは食品の中でも、特定の保健機能を表示可能とした食品です。審査にあたっては十分に時間をかけて実施されるべきことが必須です。答申の問題点は、「手続きの合理化、迅速化」を提示するだけで、許可されて以降の新たな有害性情報、不具合情報が入手された場合の「再審査」の重要性についてまったく触れていないことです。この点も消費者目線を欠如した部分です。

特に、トクホの関与成分について市販後に新たな問題が発生した場合はどうするのか。迅速な規制措置と再審査が求められますが、その規制措置について答申は論評を避けています。これは、「エコナ問題」を教訓化しておらず、トクホに使用されている添加物「コチニール色素のアレルギー問題」や「キャラメル色素の有害性問題」、さらに、トクホの関与成分として使用されているキシリトールなどの「甘味成分によるアレルギー問題」などへの検討視点が規制改革会議ではまったくないことを示しています。何よりも、消費者委員会が2011年に提示した「トクホの更新制度の導入」について答申は、完全に無視した内容です。

6.「栄養機能食品の対象拡大」について

答申は、現行の栄養機能食品として表示許可されている対象成分(ビタミン、ミネラルで合計17種類)は少なすぎるので、拡大するよう求めています。この要求は、消費者委員会が今年1月に提示した「健康食品の表示等に関する建議」にも盛り込まれていますが、安易な拡大には反対です。

 

このように、答申の健康食品等に関する分野での問題点は多岐にわたります。消費者被害防止には、答申に示された規制の緩和策ではなく、規制の強化策こそ必要であると考えます。その観点から、以下の8点を要望します。

 

【健康食品等をめぐる各省庁への要望】

1. 法執行体制の強化整備と法執行の実践

2. いわゆる健康食品に対する届出制度・登録制度等の導入

3. いわゆる健康食品への警告表示の義務化

4. 特定保健用食品(トクホ)への「更新制度」の早期導入

5. トクホと栄養機能食品への法執行強化と規制強化へ向けた制度見直し

6. 事故情報の報告義務化

7. 因果関係が不明であっても公表する被害防止へ向けた食品事故公表制度の対象範囲の拡大とそれへ向けた新規制度の導入

8. 消費者委員会にあっては、内閣総理大臣への断固たる「勧告」の実施

以上

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共通番号制度法案に抗議するとともに廃案を要求します


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