【意見書】《消費税率の引き上げに断固反対します》

申し入れ・要望

2012年1月23日

内閣総理大臣
内閣副総理大臣社会保障・税一体改革担当
内閣府特命消費者担当大臣 宛

消費税率の引き上げに断固反対します 

主婦連合会

野田佳彦首相は1月6日、自らが本部長である「社会保障改革本部」の「社会保障・税一体改革」の素案を発表しました。その中で2015年10月までに消費税を10%へと段階的に引き上げることを明らかにし、通常国会への法案提出が表明されました。

消費税は逆進性のある大衆課税です。主婦連合会は消費税率のアップは、消費生活に甚大な影響を与え、社会保障制度改革・改善への道筋が極めて不透明な中では、いっそう消費生活への圧迫や貧困・格差を助長していくものと考え、以下の理由から、断固反対を表明します。

社会保障改革や財政再建への財源確保として消費税率アップに頼ることは、あまりに安易過ぎる措置であり、この税率アップ構想の撤回を求めます。

1.消費増税は所得の低い人ほど負担の大きい逆進性を特徴とします。年収250万円未満の4人世帯では、税率8%でも消費税負担が現行より年7万円、10%では11万円増加するとの試算も報道されています。発表された「社会保障・税一体改革」素案では、今後さらに税率をアップされることも予定されています。歯止めなき消費増税となりかねません。

2.すべての所得を合わせた総合課税にすべきです。その上で、最高税率を引き上げ、高所得者ほど税負担が重くなる累進課税の強化が必要だと考えます。

3.社会保障制度改革と一体的に消費増税が提案されていますが、提示された社会保障改革の中身は極めて不透明であり、「社会保障の安定財源」として消費税を位置付けることは安易すぎます。実態として、現行の消費税5%についても消費生活への圧迫に加え、自営業者の経営圧迫要因も指摘されています。生活困窮の要因の一つとなっている消費税を、その生活救済措置としての社会保障の財源に位置付けることは本末転倒と言えます。

4.そもそも財政再建へ向けた歳出・歳入の監視努力が本当に尽くされているのかも疑わしい現状です。議員の歳費、国家公務員の給与、次期戦闘機などの防衛予算、「コンクリート」に象徴される開発・建設諸事業費についても様々な問題点が報道されています。増税の前に大幅な見直しをするべきです。

5.「一体改革」素案には、食料品などの生活物資に関して対象外とはしないこと、インボイス方式を導入しないことなどが明記され、輸出大企業の優遇措置の見直しなどにも触れていません。消費者への配慮が全く見られず、中小自営業者への配慮も感じられません。

6.政府は、消費増税を予定する一方で、大企業の減税措置を決定するなど、整合性を欠く施策を導入しようとしています。到底、納得できるものではありません。

以上の理由から、主婦連合会は消費税率アップに断固反対を表明し、消費者の意見を十分反映させることを保証した、消費税率アップに頼らない税制改革の実施を要望します。

以上