【意見書】《「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」報告書についての意見》

申し入れ・要望

 2012年8月22日

内閣府消費者担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛

「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」報告書についての意見

主婦連合会 

本日、内閣府に設置された標記検討会は、国民生活センターについて「消費者庁を移行先」とした「特別の機関」という種類の機関として位置付けることを「有力」とする報告書をまとめました。消費者庁がこれまで強く主張してきた「施設等機関」では国民生活センターの「各機能は十分発揮されない」「限界がある」との判断を示し、「特別な機関」にすることが「適当である」とする視点を打ち出した内容です。

しかし、報告書では「特別な機関」がどれほど独立性を担保した機関なのかまったく明確ではなく、同センターの機能確保についても、「担当大臣が指導力を発揮されることを期待する」などと淡い期待感を表明されています。担当大臣の指導力に期待するのなら、そもそも今回のような同センターの「一元化問題」は発生していません。

主婦連合会は、国民生活センターは、消費者庁、消費者委員会等と並び立つ独立した法人として存続・機能強化させることこそが、消費者行政の充実・強化につながると考え、「国への移管」「消費者庁への移管」について、反対を主張してきました。今回の報告書は、特別の機関として消費者庁に移管する案を有力としていますが、ADR機能確保の問題をはじめ、消費者庁からの「独立性」も不透明で、イメージが提示されない架空の組織形態であり、とても納得できるものではありません。

主婦連合会は次のような意見を表明します。

 1. 国民生活センターは消費者庁、消費者委員会等と並び立つ独立した法人として存続・拡充・強化することこそ、消費者行政の推進につながります。そもそも現在の国民生活センターの「国への移管」は、消費者行政の後退につながると考えます。

2. 報告書が提示した「特別な機関」については、現在の国民生活センターの機能に合わせた組織内容を説明すべきなのに、その検討がほとんど実施されていない中では、「机上の空論」と思わざるを得ません。

3. 報告書は、「消費者庁体制」発足時の理念を再確認しているものの、今後の取組策について具体性がなく、抽象的で不透明な施策の提示で終わっています。「消費者庁体制」の課題について、その原因を明確にする視点が弱いことが提示する施策の方向をあいまいなものとしています。

4. 消費者委員会の「監視機能」について、消費者庁からの「諮問」や「審議会機能」との関連で記載されていますが、諮問をもとに検討する方法は、同委員会の監視機能を強化するのではなく、逆に後退することにつながります。報告書では、そのことへの認識が弱く、消費者委員会発足時の「自ら調査」の重要性がまったく抜け落ちています。

5. 報告書には、「国民」「消費者」など、言葉の用い方に統一を欠いていたり、「消費者の利益」「消費者の権利」「消費者目線」「消費者の立場」等、その言葉の用いられ方によって、定義が明確でないまま、繰り返し用いられている例が見受けられます。また、「消費者目線」も認識次第で「獲得」できるものと考える視点を打ち出しているなど、全体に言葉が上滑りした、安易な文書であるという印象を拭えません。

6. 今回の報告書の問題点は、この3年間で消費者行政の何が問題になり、消費者行政の対応でうまくできなかった例があれば、その原因は何に由来しているのか、それら課題がきちんと解明されていないことです。そのために理念を実現させるべき取り組みについても、具体性に欠けた内容となっています。

今回の報告書の内容には不十分な個所が散見していることから、設置法附則第三項や国会附帯決議等の趣旨に基づく検討をさらに深めるべきであると考えます。主婦連合会は、真に消費者のための改革が行なわれるよう強く要望します。

以上