《アサヒビールのペットボトル容器入りビール発売に関する公開質問書》
2004年7月30日
《アサヒビール株式会社 代表取締役社長 池田 弘一 宛》
私たち消費者市民団体は、温暖化、異常気象、砂漠化など地球環境の悪化は人間の営みが要因になっているとの考えから、次世代には少しでもよい地球を引き継ぎたいと様々な活動をしております。そのひとつとして、真の循環型社会を目指す容器包装リサイクル法の改正にも力を注いでおります。
これらの活動の中、2004年7月9日付けの朝日新聞の「ペットボトル入りビール年内発売 アサヒビール」記事を拝見しました。ペットボトル容器は循環型社会の確立に逆行するばかりでなく、地球環境の悪化につながることは明白です。
「工場内のごみゼロ」や「アサヒスタイニー」というリターナブルびんを販売している貴社が、なぜ?と疑問です。また、アルコール飲料は、到酔性・依存性を持つ特殊な商品です。酒類販売の規制緩和でほとんどのコンビニ・スーパーで販売されるなど、誰にも身近な商品になりつつあります。そのうえ、ペットボトルは清涼飲料水のイメージが強く、未成年者が気軽に手に取りやすい容器です。私たちは、酒類メーカーとしての貴社の社会的責任、未成年者飲酒防止の観点からも、ペットボトル入りビールは問題があると考えます。
時節柄、お忙しいとは存じますが、下記の質問について8月10日までにご回答くださいますようお願いいたします。
1.今回開発されたペットボトルはガスバリア性と遮光性を高めたとありますが、酸化珪素はどのように付着させ、リサイクルするときにはどのように除去するのですか。シュリンクラベルや遮光底はどのように取り外すのですか。また、再商品化の工程は増えませんか。
2.ペットボトルのリサイクルについて
現在も自治体負担が6?7割といわれていますが、貴社では自主回収される予定はありますか。ペットボトルは飲料の中身によって、添加剤、可塑剤などが変わるといわれていますが、ビールを入れるペットの特殊な添加剤、可塑剤は何ですか。
3.安全性について
貴社で検討された食品に対する安全性についての検討結果を全てご教示下さい。
4.今回開発されたペットボトルについて、利便性やファッション性、機能性を提案とありますが、ご検討された内容を詳しく説明してください。
5.未成年者の飲酒防止について、貴社の考えをお聞かせ下さい。
※消費者団体名:
拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク/古紙問題市民行動ネットワーク/主婦連合会/消費科学連合会/東京都地域消費者団体連絡会/特定非営利活動法人ASK/特定非営利活動法人東京都地域婦人団体連盟/日本消費者連盟/目黒区消費者友の会/目黒区グループ連絡会
(7月29日現在)
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《アサヒビール株式会社からの回答書》
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2004年9月30日
拝啓 初秋の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社商品に格別のご高配を賜り、誠に有難く厚く御礼申し上げます。
さて、本年7月に弊社が発表した「PETボトル容器入りビール」に関しまして、貴殿から公開質問状を頂戴しておりましたが、発売に冠する詳細の検討を重ねて参りましたために回答が大変遅くなり誠に申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げますとともに、本件につきまして、以下の通りご報告申し上げます。
弊社は、PETボトル容器の利便性等に着目し、PETボトル容器入りビール商品の実用化を可能にし、本年中の発売を目指すことを7月上旬に発表いたしました。
今回の開発は、長年の研究成果により、PET容器の課題とされてきたガスバリア性(酸化耐久性)、遮光性を大幅に向上させるとともに、一般のPET容器同様にリサイクル可能な容器素材とすることで、ビールでの実用化を可能にしたものでございます。
発表後は、多くのお客様から予想を上回る反響を頂戴いたしました。この大きな反響から、弊社では、弊社のPETボトル容器入りビールの新商品販売をきっかけに、アルコール市場においてもPETボトル容器の普及が当初予測していた以上に加速し、順調に機能している現行のPETボトルのリサイクルシステムに多大な影響を及ぼす可能性を懸念し、発売について更に慎重な検討を重ねてまいりました。
その結果、本年中に計画していたPETボトル容器入りビール新商品の発売につきましては、当面見合わせるという判断にいたりました。
なお、上記内容につきましては、本日、広報発表いたしております。
以上のような経緯のため、貴殿からのご質問状への回答が遅れましたことをあらためましてお詫び申し上げますとともに、当文書をもちまして、回答に代えさせていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、今後ますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具
アサヒビール株式会社
環境社会貢献部