2007年1月25日
株式会社不二家 櫻井 康文 代表取締役社長 宛
不正行為への厳重抗議と要望・質問
主婦連合会
主婦連合会は昭和23年に発足以降、消費者の権利確立を求め、幅広い運動を展開してきました。このたび報道で判明した御社の不正行為の数々は、当連合会が取り組んだ消費者問題の歴史の中でも極めて重大で、到底看過できるものではありません。「ペコちゃん」への信頼も失墜し、消費者が求める「安全・安心」への生活環境を根底から揺るがす事態となっています。
しかも、不正が特定の社員ではなく、御社全体で、まさに組織ぐるみで実施されてきたという指摘を聞くにつけ、これは消費者の権利運動に敵対する行為と思わざるを得ません。ここに厳重に抗議するとともに、次の点について要望・質問いたします。
1)真相究明とその結果を速やかに公表して下さい。期限切れの原材料は使用しないという社内規定がなぜ守られなかったのか、細菌検査で出荷基準に満たない食品があったのになぜ出荷したのか、これらを「管理や認識の甘さ」「会社の体質」とするのではなく、そのような「甘さ」を招いた原因を明確にすることを求めます。そうでないと、今後、食品衛生マニュアルを遵守するなどと表明されても、御社への信頼は回復しません。
2)コンプライアンス体制を根底から見直し、消費者重視策を導入して下さい。そのために予定されている具体策・道筋を明確に示してください。
以上
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2007年2月7日に、株式会社 不二家から回答が届きました。
《弊社不祥事について》
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
この度の不祥事につきましては、日頃からご支援ご愛顧を賜っておりますお客様ほか、関係の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしたこと、謹んで深くお詫び申し上げます。
今回の一連の不祥事に関する原因分析と今後の対策につきまして、下記にご報告申し上げます。
= 記 =
(1)一連の不祥事とその原因について
<起きてしまった不祥事>
1 消費期限・賞味期限切れ原料の使用(牛乳、アップルフィリング等)
2 社内基準で設定した消費期限の1日延長(シュークリーム・プリン) 等でした。
<上記の原因>
○ 食品を扱う企業認識に甘さがあった
従来からの習慣で仕事をし続け、それが問題ないと信じ込んでいたた為、
雪印事件等を教訓とすることができなかった。長年続いた洋菓子事業全体
で油断やモラルの低下を生み、結果的に甘え・隠蔽・不透明さのある体質
を生み出してしまった。消費者視点ではなく内向きな視点で生産活動をし
ていた。
○ 品質保証体制が脆弱だった
個人衛生レベルから工場を運営するのに必要な食品衛生マニュアルまで、
具体性に欠け、理解しづらく、実態とかけ離れたものになっていた。工場
全体、洋菓子事業全体のマネジメントが不足しており、会社として品質保
証できるレベルでなかった。
○ 各種マニュアルや記録類が未整備だった
マニュアルの重要性を認識してなく、記録の重要性(原料のトレース)
に気づいていなかった。
○ 弊社行動指針・行動規範に関するコンプライアンス、食品衛生マニュアル等に
関する徹底した教育・啓蒙活動が不足していた
書類としては整っていましたが、その重要性について管理者が従業員全
体に充分理解させる体制、努力が不充分であった。
(2)今後の対策について
上記の不祥事について、個別に対処していますが、そればかりでは失った信頼を
回復することは難しい為、この事態を解決し、新しい不二家を築くために、1月22
日に有識者の方々による『「外部から不二家を変える」改革委員会』を、また同日新
社長直轄の社内組織『改革推進本部』を発足しました。
さらに1月29日には、原因を究明し再発を防止するための『信頼回復対策会議』
も発足させ、社外の専門家によるご指導を仰ぎながら進めています。
コンプライアンスにつきましては、2月2日日本におけるコンプライアンス教育の第一
一者郷原信郎教授(桐蔭横浜大学教授)から弊社社員100名以上が教育を受けました。
この考え方を踏まえ製造工場においても再教育をしています。その他個人衛生教育や各種
マニュアル等の教育、読み合わせを行っています。
今回のことを契機にすべての問題点を出し切って、本当に新しい不二家に生まれ変わる
ために、全社員一丸となって改革を進め、失われた信用を回復し、不二家を再建します。
以上、このたびの不祥事に関する原因と、現時点での今後の対策につきましてご報告申
し上げました。
事の重大さを充分認識し、一日も早い信頼の回復と食の安心・安全をご提供できる体制
を構築して参りますので、今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申し上
げます。
以上