2009年9月11日
厚生労働大臣
食品安全委員会委員長
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
健康エコナクッキングオイルなど「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」の
特定保健用食品としての認可取り消しと一時販売停止の要望
主婦連合会
ジアシルグリセロールを主成分とする特定保健用食品「健康エコナクッキングオイル」など、「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」の安全性について、厚生労働省及び食品安全委員会が2003年以降、動物実験やリスク評価(健康影響評価)に取り組んできました。
これまでの実験では、ラットによる乳腺腫瘍の発生増加や、マウスによる皮膚発がん促進の疑いなど、消費者にとって看過できない結果も報告されています。
他の食用油にはない人体作用への懸念も指摘されるようになりました。
しかも、今年7月には、新たに遺伝毒性を持つ発がん物質「グリシドール」を生成する可能性のある「グリシドールエステル」が「健康エコナクッキングオイル」など、「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」に不純物として高い値で含有されていることがわかりました。
グリシドールエステルが生体内で「グリシドール」に変換される可能性が否定できない中では、「健康エコナクッキングオイル」など「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」を特定保健用食品として推奨・販売され続けることは重大な問題です。
現在も大量に販売され、乳幼児、妊婦、高齢者、障害者等も摂取している状態が続いています。
現状を放置し続けている食品安全行政の責任は極めて重いと言わざるを得ません。
そこで主婦連合会は、「消費者の安全の権利」の確保を求め、次の点を要求します。
<項目>
1 特定保健用食品としての認可取り消しと一時販売停止を
緊急措置が必要であり、早急に「健康エコナクッキングオイル」などの「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」の特定保健用食品としての認可を取り消し、一時販売停止措置を検討してください。
2 消費者に分かりやすい情報提供を
早急に現在判明している「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」に関するグリシドールエステル混入問題について、科学的事実をわかりやすく消費者に情報提供してください。
3 「最悪のケース」を踏まえたリスク評価を
食品安全委員会及び厚生労働省は、グリシドールエステルの生体内動態調査を計画・実施する予定とのことですが、その実験結果を待って再評価するにはあまりにも長期間を要します。
海外ではグリシドールエステルが生体内で全て発がん物質の「グリシドール」に変換すると仮定した「最悪のケース」を前提に対応措置をとっています。
早急にこの「最悪のケース」をもとにしたリスク評価を実施してください。
4 消費者の健康影響調査の検討を
これまで10年近く、数十万トンにものぼる「健康エコナクッキングイオイル」など、「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」が販売され、乳幼児から妊婦、高齢者、障害者など、幅広い消費者に食されてきました。
それが今、専門家からも「日々食する消費者に健康上の危惧が生じないとは言えない」とまで指摘されるようになりました。
グリシドールエステルが高い値で混入している事実を重く受け止め、食品安全行政・健康行政機関は直ちに、消費者の健康影響調査の検討に着手してください。
5 消費者の食品不信・制度不信を招いたことへの原因究明を
私たちは6年前から、事態が明確になるまで安全性の確保から、「健康エコナクッキングオイル」などの「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」について特定保健用食品としての認可取り消しや、一時販売停止措置などを求めてきましたが、その意見はまったく聞き入れられませんでした。
新たにグリシドールエステル混入問題が報告され、消費者の間に不安感が急速に高まっている中、行政の責任は重いと言わざるを得ません。
なぜ、発がん二段階試験が実施される一方で、特定保健用食品として推奨・販売される奇異な状態が続いているのか、
なぜこの間、行政として食品の安全性確保へ向けた適正な措置がとられることがなかったのか、その原因と制度の問題点を明確にしてください。
6 「消費者の目線」を重視した判断と執行を
「健康エコナクッキングオイル」など「高濃度のジアシルグリセロールを含む食品」に関する検討がなぜこれほど長期間にわたり継続されているのか、現在も新たな「グリシドールエステル問題」という科学的事実が提示されながら、直接の影響を受ける消費者の目線が活かされず、科学的判断も、それに基づく適正な執行もなぜ遅れているのか、私たちは疑問に思っています。
今後、特定保健用食品に関する許認可は厚生労働省から消費者庁に移ります。同じことを繰り返さないためにも、消費者目線の視点を重視してください。
以上