2019年7月23日
日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長
株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役社長
金融庁長官
一般社団法人生命保険協会会長
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
かんぽ生命の不適切な保険販売に抗議し、
原因究明と信頼回復への速やかな対応を求めます
主婦連合会
かんぽ生命は、6月27日、契約者が保険を乗り換える際に不利益を被った契約が、2014年4月から2019年3月の5年間で、2万3900件あると発表しました。契約者が被った不利益は、旧契約の解除により、健康悪化などを理由に新保険に加入できなくなったもの、新保険に乗り換えても病歴などを自己申告しなかったとして後日契約解除されたり不利な契約変更をさせられた恐れがあるもの、また乗り換えなくても旧契約の特約で対応できた可能性があるものなどです。さらに、7月8日には、保険の新旧契約を重複して結ばせて保険料を二重に払わせたものが約2万2000件あると明らかにしました。
こうした不適切販売の背景には、保険を販売する郵便局職員への契約時の営業手当の評価ルールや過剰なノルマの存在があったとの報道がされています。保険の乗り換え時に旧契約を解約してから新契約を結ぶという、システム上の問題も指摘されています。
かんぽ生命では保険の販売を日本郵便の郵便局に委託し、主に郵便局員が販売を行っています。特に高齢者にとっては、地域の郵便局に対する信頼は、民営化以降も厚いものとなっています。そのため、保険の内容をよく理解していなくても、郵便局は安心という気持ちや、なじみの郵便局の販売員が勧めるならばという気持ちで契約の変更に応じてしまったことが被害の拡大の原因となっています。契約者に不利益な保険契約の不適切な販売は、長年培われてきた郵便局に対する信頼を大きく損ないました。
生命保険は多くの人にとって人生の不慮の事態に対応するための大切な契約です。金融商品の販売には、適合性の原則として、業者は、契約者の知識や経験、資産状況、購入目的等を確認したうえで、契約者に合った商品をすすめることが義務づけられています。保険の乗り換えは、契約の内容をきちんと理解することが難しいことからトラブルになりやすく、特に高齢者が不利益を被るケースが目立ちます。かんぽ生命では、満70才以上の契約者には、契約の申し込みにあたって家族の同席や契約内容の確認を行っているとしていますが、被害の数からみて十分に行われていたとは思えません。
かんぽ生命は、「すべての契約者に対して契約を再調査し、問題があれば旧契約に戻すなどの対応を取る」としていますが、早急な被害の全容解明を行い、契約者目線での被害救済をしてください。 また、「旧契約を解約せずに契約を見直せるように転換制度を2021年4月から導入する」としていますが、導入までの間の顧客への適切な対応として制度の不備を補う施策が必要です。
事態の重大さに鑑み、私たちは徹底した原因の調査と公表を求めます。日本郵政では、ゆうちょ銀行による高齢者への投資信託販売でも、不適切な勧誘が問題となっています。今後二度とこのようなことがないよう、再発防止対策とともに企業体質の抜本的な見直しを行い、信頼回復を果たすことを強く望みます。
以上