【意見書】機能性表示食品の制度見直しは極めて不充分です 制度の廃止を含め抜本的制度改革を求めます

申し入れ・要望

2024年7月9日

内閣総理大臣 
厚生労働大臣
農林水産大臣
消費者及び食品安全担当大臣
消費者庁長官 
消費者委員会委員長

主婦連合会

機能性表示食品の制度見直しは極めて不充分です
制度の廃止を含め抜本的制度改革を求めます

厚生労働省は7月8日、紅麹サプリメントの摂取との因果関係が疑われる死亡事例が97人に達したと発表しました。死亡事例の報告は3月の5人との公表以降更新されずにいたところ、6月末になって小林製薬は、厚労省からの問い合わせに応える形で大幅に更新された数字を報告したと報道されています。企業としての社会的責任の自覚の欠如、そして監督官庁の対応の甘さが際立っています。
また日本腎臓学会は6月30日、サプリ摂取後に腎障害を確認した患者のうち8割超で腎機能の改善がみられず、慢性腎臓病のような状態になっていたことを発表しました。死者数の多さ、慢性化する症状、これは「健康食品」がもたらした過去に例のない極めて深刻な事態です。
いまだ原因物質の特定に至っていないと報道されていますが、プロセスを透明化し、あらゆる関連情報を随時公表するべきです。
この問題を受けて消費者庁が設けた「機能性表示食品を巡る検討会」は5月27
日に報告書をとりまとめ、健康被害情報の収集および行政機関への情報提供の義務化、機能性表示を行うサプリメントについてはGMP(適正製造規範)に基づく製造管理の義務化、新規の機能性関与成分を含むものは、安全性や機能性について医学薬学の専門家の意見を聞く仕組みの導入等を提言しました。これらは急ぎ検討結果をまとめたものであり、当然なされるべき最低限のことが書かれていますが、事業者への配慮も随所に見られ、消費者の権利を守るべき消費者庁が打ち出すものとして、決して充分な内容とは言えません。
 いまだ被害拡大の様相を見せている紅麹サプリの問題を受けて、機能性表示食品を含む健康食品の制度の抜本的見直しを求め、以下の通り意見を述べます。

◆健康被害情報収集及び公表の仕組み
健康被害情報の実効的な収集の仕組みを構築すること。また、すみやかに公表される仕組み・規定を定めること。

◆健康被害救済制度
食品による健康被害の救済制度の導入について早急に検討を開始すること。

◆サプリメント形状への規制
機能性表示食品に限定せず、特定の成分を簡単に過剰摂取することが可能であるサプリメント形状(錠剤・カプセル・濃縮型等)の健康食品全般(「いわゆる健康食品」を含む)について、安全と品質を担保する厳格なルールを導入すること。

◆キャッチコピー・広告規制
義務表示だけでなく、パッケージに書かれたキャッチフレーズ、広告全般を含め、食品表示法に位置づけるなどしてルールを明確にし、更に違反を是正させる規律を導入すること。

◆「いわゆる健康食品」を含む健康食品全般に関するルールの抜本的見直し
安全性・機能性を事業者任せとしている機能性表示食品制度のあり方そのものについて、制度の廃止を含めた抜本的改革が必要。新規の成分に限らず安全性、品質、機能性の担保のため国のチェックが入る制度が強く求められる。「いわゆる健康食品」を含む健康食品全体の在り方を抜本的に見直し、消費者被害を未然に防ぐことができる新しい制度に生まれ変わるべく、早急に検討を開始すること。

以上