2025年2月27日
個人情報保護委員会委員長
主婦連合会
個人情報保護法の見直しに関する意見
2022年(令和4年)4月1日に全面施行された個人情報の保護に関する法律の附則において、いわゆる「3年ごと見直し」が規定されました。今年は施行後3年の見直しの年となります。個人情報保護委員会は、2024年(令和6年)9月4日に、中間整理に関する意見募集結果を踏まえた「今後の検討の進め方」を公表され、その中で「状況の変化を踏まえた規制のアップデートが必要」と整理しています。また、「課徴金、団体による差止請求制度や被害回復制度」については、「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会」 において議論・検討を深化するとされ、主婦連合会は検討会の場でも関係団体として意見を表明してきました。
私たちは、個人情報が社会にとって有益な形で利活用されることに反対するものではありません。しかしそれには、個人の権利利益が保護される制度の整備が大前提となります。この点から、以下の通り意見を述べます。
記
- 2025年(令和7年)2月5日開催の個人情報保護委員会の資料によれば、「個人の権利利益への直接の影響の有無」の観点から「個人の権利利益を侵害するおそれが少ない」ものとして、AI開発等を視野に、「統計情報等の作成」に対して、「本人の同意を要しないもの」とする考え方が示されています。私たちはこのように拙速に整理することには反対です。
- 法令への悪質な違反事例は継続的に報告されています。違反行為の抑止を含め実効性のある制裁措置(課徴金、差止請求、被害救済など)の創設・強化を求めます。
- 2月5日の委員会資料には、上記 の統計情報等の作成の他にも、公衆衛生の観点など条件付きで本人同意の規制を緩和する考え方が示されています。現行の規制を緩和する改正は、個人の権利利益が侵害されないこと、利用目的が適正であること、及び、関係事業者(提供元及び提供先)が適正な利用を確保する法令遵守体制を有することが担保される制度整備、並びに、2. で述べた違反行為への制裁措置(課徴金、差止請求、被害救済など)の創設・強化と同時になされる必要があります。デジタル技術の進化に伴うデータ利活用が、個人の権利利益が確かに守られるルール整備を伴って進むよう強く要望いたします。
以上