2025年11月7日
内閣総理大臣
農林水産大臣
消費者委員会 委員長
食料、農業政策に関する要望
~消費者と生産者を守り持続可能な農業政策の推進を求めます~
主婦連合会
新政権は、前政権の下で掲げられた「コメの増産、価格抑制」の路線を180度転換し、「生産調整、価格維持」へ舵を切ると発表しました。主食のコメに関する政策が、国民への十分な説明もなく、短期間でこれほど変わることに私たちは不信と不安を覚えます。
そもそも生産抑制政策は自給率向上を目指すとしていることと矛盾します。今求められているのは、おおいに生産し、自給率を向上させることです。農家の所得面での懸念には、生産調整による価格の維持ではなく、所得補償の形で支援する方策を整備すべきです。EUなどでは農家の所得を補いながら市場競争を維持し、消費者の負担を増やさずに農家を守るという取組みが定着しています。
異常気象と戦禍が絶えない世界において、国民の命を守る安全保障の要は食料であり、それを生み出すのが農業です。どのような状況下でも、輸入に頼らずに国民に十分な食料を安定供給することができ、将来にわたって国民の命と、農業・農村の持つ多面的機能を守れる状態を維持することです。実現は一朝一夕にはいかないからこそ、そこへ向けて着実な歩みのための政策推進を強く求めます。
主食のコメについては、消費者が払える価格と、生産者にとって必要な価格のギャップを埋める必要があり、それこそが政治の役割と考えます。生産者にも消費者にも先の見通せる政策を打ち立てて下さい。
以上に鑑み、以下のことを要望します。
記
1. コメの価格維持のための生産調整(減産)ではなく、農家への価格保障や所得補償によるゆとりある安定供給の形を実現すること。
2. 輸入依存の食料政策を改め、「食料・農業・農村基本計画」に明記された、カロリーベースで2030年に45%という自給率目標の達成を確実なものとするための政策を農政の重点に据えて、すみやかに実施すること。
3. 命の源である食料を安易に貿易交渉の取引材料としないこと。
4. 物価高騰で苦しむ人々を支えるための食料支援の制度を整備し、速やかに実施すること。
5. 生産者の減少をくい止める政策を推進すること。例えば、若者の農業参入を促進する経済的支援、教育プログラムの拡充、女性や高齢者がより従事しやすい農業支援などを推進すること。
6. 小中学校給食の無償化、質・量の担保をすみやかにすべての自治体で実現できるよう国が支援すること。また学校給食の地産地消と有機食材の活用を広げるために必要な働きかけを積極的に行うこと。
以上
