【要請書】「5類型」の撤廃を断念し、武器輸出を中止するよう求めます

【 要 請 書 】

2025年12月25日

自由民主党総裁
日本維新の会共同代表

 

「5類型」の撤廃を断念し、武器輸出を中止するよう求めます

 

 自民党と日本維新の会は12月15日、完成品の武器輸出を抑制的な用途に限定してきた「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)の撤廃に向けた協議を開始しました。2月にも政府に提言を出し、4月に国家安全保障会議の9大臣会合で防衛装備移転三原則の運用指針を改定するとしています。これは、武器輸出の全面解禁に他なりません。

 そもそも、海外に武器を輸出しないという武器輸出三原則は、平和を求める主権者が自民党政権に作らせた平和原則であり、1981年の衆参両院での全会一致の国会決議によって「国是」にまで高められたものでした。2014年、安倍政権は閣議と国家安全保障会議によって武器輸出三原則を撤廃しましたが、本来なら衆参両院で国会決議を上げ直すべきところでした。また、2023年12月の岸田政権による殺傷武器輸出の一部解禁も、わずか12人の与党議員による密室会合で議論された末に閣議決定されたものです。こうした非民主的な方法を積み重ねた末に、今回、閣議すら経ないで国是を最終的に葬り去ることは決して認められません。

 一方で、8月に豪州への「もがみ型護衛艦能力向上型」の輸出が決まったように、「共同開発・生産」という形をとれば、殺傷武器の輸出は認められてきました。5類型の撤廃は、最後に残った制約を取り払い、文字通りの「死の商人国家」への堕落を完成させるものです。

 日本が輸出した武器で他国の人々が殺傷されることへの怖れよりも、販路が拡大して得られる利益を優先することは、まさしく「死の商人」の論理そのものです。しかも現在、アメリカやドイツなどによる武器輸出がイスラエルによるパレスチナ人のジェノサイド(意図的な集団殺害)を支えていることが誰の目にも明らかになっています。武器輸出が持つ残虐性がこれほど露わになっているその時に、日本がなすべきことは、周回遅れで武器輸出市場に参入することではなく、武器輸出そのものを規制することでしょう。

 現在、巨額の軍事費の投入によって軍需産業は「儲かる産業」へと急速に変貌し、日本版の「軍産学複合体」が出現しかねない瀬戸際となっています。私たちは「死の商人国家」への堕落ではなく、世界の人々の平和的生存権を守る本来の「平和国家」への政策転換こそを求め、以下を要請します。

 

  1.5類型の撤廃に向けたあらゆる作業を中止すること

  2.「共同開発・生産」した武器についても、5類型を適用すること

  3.武器輸出禁止原則の復活・強化に向けて国会内外での熟議を保障すること

                

武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、日本消費者連盟、主婦連合会、STOP改憲・北区の会、日本平和委員会、すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川、STOP大軍拡アクション、平和をつくり出す宗教者ネット、日本山妙法寺、平和を実現するキリスト者ネット、ふぇみん婦人民主クラブ、日本カトリック正義と平和協議会