2018年4月11日
内閣総理大臣
総務大臣
消費者委員会委員長 宛
放送法第4条の撤廃に反対します
主婦連合会
政府が放送制度改革として、放送番組の「政治的公平」や「正確な報道」を定めた放送法4条の撤廃を検討していることが、繰り返し報道されています。放送という重要な情報インフラによる公平で正確な報道は、民主主義を支える重要な機能です。放送法4条撤廃論は、決して見過ごすことのできない由々しき問題です。
政府は「4条撤廃について政府として具体的な検討を行ったことはない」と4月3日に答弁していますが、官邸に設置された規制改革推進会議が、インターネットテレビ局などが放送に参入しやすくなることなど、経済効率の視点で放送制度の改革を議論していることは与党議員も認めているところです。
放送法とは、NHKや民放など、テレビ・ラジオの放送事業について、その運営や番組を規律する法律です。放送法の目的規定には、「この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」とし、その原則として「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」と書かれています。
今回、削除の方向として問題となっているのは第4条で、次のように規定されています。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
有限な電波は国民共有の財産です。NHKや民放の放送は重要な情報インフラとして、公共的な役割を果たすことが求められます。民主主義を支える役割を担う放送事業に関して、経済効率を優先し、新規事業者や海外資本の参入しやすさから規制改革を進める政府の姿勢は決して見過ごすことができません。
政治的に公平であることはもちろん、事業活動がからむ重大事故や汚染が起きた場合に、資本力のあるスポンサーの力で情報がゆがめられることがあれば、消費者・生活者の生命、身体の安全にかかわります。
官邸に設置された規制改革推進会議が検討中のこの方向性には、野田聖子総務大臣をはじめとして政府与党内、野党、マスコミからも懸念が相次ぎ表明されています。
主婦連合会は消費者・生活者の知る権利を侵害する放送法4条撤廃に断固反対を表明します。
以上