《「基本計画工程表」素案に関する意見》

申し入れ・要望
消費者庁消費者政策課宛

「基本計画工程表」素案に関する意見

主婦連合会

■全体について

以前は取組予定がわかりやすく表になっていましたが、今回の工程表は全体に漠然としていて、5年間全体での計画となっているものが多く、また、項目によっては連携している関係省庁があるにも関わらずそのことが見えない、もしくはわかりにくくなっています。各項目について何年度までに何をどのように行うのかという具体的な取組をできるだけ明確に示してください。

評価基準であるKPIに関しては、執行数や配布部数だけではなく、アンケートなどを用い、理解度を母数を明確にして数値化するなど効果的な方法について検討してください。

 

Ⅰ 消費者被害の防止

(1)消費者の安全の確保

① 事故の未然防止のための取組

消費者の安全確保には、被害防止のための情報収集、情報提供、法の厳正な執行とともに、経済や消費生活についての教育を進めることが重要です。

■P1ア身近な化学製品等に関する理解促進

環境へのリスクを減らすために、身近な家庭用品を購入する際の製品選択の目安や使用方法などを学校教育の中で体系的に学べるようにしてください。

■P4エ子供の不慮の事故を防止するための取組

被害の防止、安全の確保 という項目の下にありますが、取組内容は注意喚起と啓発のみです。子どもの事故防止を、法令等の規制、公的及び民間の安全基準等の見直しや新規導入によってはかる視点も入れるべきです。ISO/IECガイド51にある3ステップメソッドの考え方に沿えば、事故防止(リスク低減)の優先順位は

ステップ① 本質的安全設計

ステップ② 保護装置(安全装置)

ステップ③ 使用上の情報

です。本質的な安全のための取組を盛り込んでください。

 

② 消費者事故等の情報収集及び発生・拡大防止

■P10ア事故情報の収集、公表及び注意喚起等

厚労省が進めようとしているチャイルドデスレビューの国としての取組を工程表に盛り込んでください。本項目でなくても、工程表のどこかに記載するべきと考えます。

■P12イ緊急時における消費者の安全確保

新型コロナウイルス感染症などを踏まえ、関係省庁の連携などについて具体的な取組を記述してください。

■P14エ製品安全に関する情報の周知

リコール情報など製品安全に関する情報については、経済産業省だけではなく消費者庁もHPによる情報提供等を行っている担当省庁のはずですが、消費者庁の取組について工程表から読み取ることができません。消費者庁としての取組について記載してください。

 

④食品の安全性の確保

■P34ク食品トレーサビリティの推進

食品の安全性を確保するためには、書類の確認などによる社会的検証の仕組みを確実に行うことが重要です。トレーサビリティの整備について認知だけではなく、具体的な取組を明記してください。

 

(2)取引及び表示の適正化並びに消費者の自主的かつ合理的な選択の確保

①商品やサービスに関する横断的な法令の厳正な執行、見直し

■P38ア特定商取引法等の執行強化等

レンタル、旅行、ブライダル等のキャンセルについて、解約金が高額など、契約そのものが消費者に不利益となっているものが見られます。消費者契約法の観点から取組を検討してください。

 

②商品やサービスに応じた取引の適正化

■P46ア電気通信サービスに係る消費者保護の推進

KPIの「制度の運用状況」は、何を行うのか、曖昧です。苦情分析の実施などと具体的に記述してください。

 

■P73⑤食品表示による適正な情報提供及び関係法令の厳正な運用

新型コロナウイルス感染症の影響により、食品表示基準の運用緩和が実施されていますが、消費者への情報提供が不十分です。緩和のプロセスも見えず、解除の目安も不明です。緩和の影響等を把握し、危機対応のあり方を再考する必要があると考えます。健康食品も含めた食品の表示・広告の適正化については、お試し販売など消費者被害が多いことから、周知だけでなく、悪質事業者への対策の整備を具体的に取組みに記述してください。

 

 (3)「ぜい弱性」や「生きづらさ」を抱える消費者を支援する関係省庁等の連携施策の推進

■P109①成年年齢引下げを見据えた総合的な対応の推進

成年年齢引下げに関する取組みは、令和4年度以降も引き続き社会経験の少ない若者に対する施策として必要です。

 

Ⅱ 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進

(1)食品ロスの削減等に資する消費者と事業者との連携・協働

■P134②食育の推進

食料安全保障や食料自給率について消費者も理解し真剣に考える機会を求めます。

 

(3)その他の持続可能な消費社会の形成に資する消費者と事業者との連携・協働

■P146①エシカル消費の普及啓発

エシカル消費の普及は、消費者への啓発だけでは成立しません。消費者がエシカル消費を消費生活の中に取り入れていくためには、製品やサービスが「エシカル」であることの情報(どのような観点のエシカルか、どのような程度にエシカルであるか等)が偽りなく表示等により情報提供されていることが第一条件です。幅広い製品、サービスに関することであり、一部の認証ラベル制度だけに頼ることができるわけではありません。社会のエシカル消費への関心の高まりにより、一方で事業者が実際以上に製品・サービスがエシカルであるように「見せかける」ことは大いに考えられるので、推進にあたっては、記述・表示の真実性、データの透明性などの確保、それをどのように担保するかについて、取組に加える必要があると考えます。

 

Ⅲ消費生活に関連する多様な課題への機動的・集中的な対応

(1)デジタル・プラットフォームその他デジタルサービスの利用と消費者利益の保護・増進の両立

■P156①経済のデジタル化の深化に伴う取引・決済の高度化・円滑化等への対応

消費者のデジタル化への対応の環境整備とともに、災害やサイバー攻撃などでデジタルを利用できなくなる場合に備えての対応も検討しておくことが必要であると考えます。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の拡大・災害など緊急時対応

■P170①新型コロナウイルス感染症の拡大等の緊急時における対応の強化

新型コロナウイルス感染症の拡大等の緊急時において、マスク不足が問題になっています。衛生面や機能について適切な商品が入手できるよう、何らかの性能基準が必要と考えます。また、消費者へ向けた情報提供の司令塔機能の強化や、実施した緊急対策の検証、社会の変化(IT利用の拡大、テイクアウト食品の増加、新しい産業等)により生まれる消費者問題への対応についての取組を求めます。

以上