2023年10月4日
内閣総理大臣
経済産業大臣
資源エネルギー庁長官 宛
原発推進政策の破綻は明らかです
再生可能エネルギーを最優先とする政策への転換を求めます
主婦連合会
9月27日、高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場建設に向けた第一段階である文献調査について、長崎県対馬市長が受け入れないことを表明しました。北海道では2つの町村で文献調査まで進んでいますが、北海道知事は最終処分場建設に反対の立場を明言しています。
核のごみは、使用済み核燃料を再処理工場で化学処理する過程で出るものですが、青森県六ヶ所村の再処理工場は数十年間「建設中」のままであり、完成の目途もたっていません。そもそも肝心の核燃料リサイクルを担うはずだった「もんじゅ」は1兆円以上の国費を費やした末に、何ら成果を出せないまま廃炉となりました。核燃料リサイクル政策は既に破綻しています。原発を稼働し続ける限り、行き場のない、使用済み核燃料がたまり続けることになります。
主婦連合会は東電福島第一原発の処理水の海洋放出に反対の意見を挙げてきました。問題となっているトリチウムで汚染された水は、使用済み核燃料の再処理後にも発生するものであり、仮に再処理が実現した場合、六ヶ所村の再処理工場から海洋放出されることが核燃料リサイクル事業の当初からの計画にあるといわれています。この点からも、原発推進政策を進めることはもはや許されないことが明白です。
原発の長期運転を可能にした政策は極めて罪深いものです。原発の運転期間の上限の根拠は不明確です。原子炉が老朽化によってどのような影響を受けるか、圧力容器がいつ限界を迎えるかの予測は、現在の科学技術では難しいといわれています。
世界の陸地面積の0.4%しかない日本に世界の活火山の7%があり、世界の地震の2割が日本で起きるといわれています。福島第一原発の事故ではいまだ多くの人々が故郷へ帰ることができずにいます。もう二度と原発事故を起こさないことこそ政府の責任です。
いま世界各国では、安全かつクリーンな発電技術の実用化に向けて開発競争が起こっています。政府が今すぐに進めるべきは再生可能エネルギーを最優先させる政策への転換です。いまある原発の廃炉技術を確立し、原子力に頼らない安全でクリーンな発電に向けて、その技術開発に国力を注ぐべきです。
岸田首相は「子どもファースト」を掲げておられます。子どもたちのために、原発のない日本を残してください。原子力発電に未来はありません。
以上