【パブコメ】『個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理』についての意見

2024年7月29日
 
個人情報保護委員会 宛
 
 
 『個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理』についての意見
 
主婦連合会
 
意見 1
該当箇所:第2 
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方
(1)個人情報等の適正な取扱いに関する規律の在り方
ア 要保護性の高い個人情報の取扱いについて(生体データ)
 
(意見)
生体データを要配慮個人情報に含めるべきである。
生体データの利用目的の特定を義務付けるべきである。
生体データの利用について本人がより直接関与できる仕組みが導入されるべきである。(事後的な利用停止をより柔軟とする等)
(理由)
 生体データは極めてセンシティブな情報であることから、より慎重な取り扱いが求められ、その利用に関して本人の意思による取扱いへの関与の仕組みの構築が必要である。その際、多くの主要国の生体データの取扱いを参考にすべきである。
 
 
意見 2
該当箇所:第2 
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方
(1)個人情報等の適正な取扱いに関する規律の在り方
イ「不適正な利用の禁止」「適正な取得」の規律の明確化
 
(意見)
 本人が個人情報を提供することが、商品・サービスの提供を受けることの条件となっている場合など、事実上本人に選択の余地がないケースにおいては、利用目的とその達成に必要な情報の範囲を明確にし、それを超えた取得・利用に関して、より厳格に「不適正な利用の禁止」「適正な取得」の規律を適用すべきである。
(理由)
 個人情報の提供、その利用のされ方に関して、商品・サービス利用のいわば「交換条件」となっており、本人にその選択の余地がないケースは、特にデジタルプラットフォーム事業者との間で多く存在する。消費者の権利という観点から問題であり、より厳格な取り扱いが求められる。
 
 
意見 3
該当箇所:第2 
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方
(1)第三者提供規制の在り方(オプトアウト等)
 
(意見)
現行の「オプトアウト届出制度」は、個人情報をより実効的に保護する観点から、規定内容を見直すべきである。
(理由)
 現行の「オプトアウト届出制度」の規定ぶりは、不適正な利用の温床になり得るものであり、個人情報保護の規定を「骨抜き」にしている面が否めない。
 
 
意見 4
該当箇所:第2 
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方
(3)こどもの個人情報等に関する規律の在り方
 
(意見)
諸外国の法令を参考に、こどもの個人情報保護を強化すべき。具体的には、利用停止等請求権の拡張、安全管理措置義務の強化、責務規定の明記などを検討し、導入することを求める。
(理由)
 こどもの脆弱性・敏感性及びこれらに基づく要保護性を十分に考慮するべき。現行の個人情報保護法は諸外国の法令と比較して、こどもを守る観点が極めて不十分である。
 
 
意見 5
該当箇所:第2 
1 個人の権利利益のより実質的な保護の在り方
(4)個人の権利救済手段の在り方
 
(意見)
 適格消費者団体を念頭に、団体による差止請求制度や被害回復制度の枠組みの導入を求める。
(理由)
法の規定に違反する個人情報の取扱いに対する抑止力を強化し、また、本人に生じた被害の回復の実効性を高めるため。
 
 
意見 6
該当箇所:第2 
2 実効性のある監視・監督の在り方
(1)課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方
ア 課徴金制度
 
(意見)
課徴金制度の導入を求める。
(理由)
悪質な違法行為を抑止する効果が期待できる。諸外国の考え方、規定を参考にすべき。
 
 
意見 7
該当箇所:第2 
2 実効性のある監視・監督の在り方
(1)課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方
イ 勧告・命令の在り方
 
(意見)
法に違反する個人情報等の取扱いにより個人の権利利益の侵害が差し迫っている場合に直ちに中止命令を出せるようにすべき。個人情報取扱事業者等のみならず、これに関与する第三者に対しても行政上の措置をとれるようにすべき。取扱いの中止のほかに個人の権利利益の保護に向けた措置を求めることがでる規定を求める。
(理由)
 個人の権利利益の侵害を効果的に抑止するため。
 
 
意見 8
該当箇所:第2 
2 実効性のある監視・監督の在り方
(2)刑事罰の在り方
 
(意見)
個人情報が不正に取り扱われた悪質事案の類型が様々であることを踏まえ、現行法の規定では不十分な点を洗い出し、処罰範囲を広げることを求める。
(理由)
 個人情報の不正取得の事例が多く発生している現状に鑑み、個人の権利利益の侵害の抑止につなげるため。
 
 
意見 9
該当箇所:第2 
2 実効性のある監視・監督の在り方
(3)漏えい等報告・本人通知の在り方
 
(意見)
現行の漏えい等報告の規律の合理化の検討は慎重に進められなくてはならない。事業者都合から軽々に規律をゆるめるべきではない。
また、現行法において、事業者が個人データを違法に第三者に提供した場合について、報告義務及び本人通知義務が存在しないことは問題である。違法提供の場合の規律を導入すべき。
(理由)
 事業者の都合を優先することにより個人の権利利益を守る機能が損なわれてはならない。
 
 
意見 10
該当箇所:第2 
3 データ利活用に向けた取組に対する支援等の在り方
(1) 本人同意を要しないデータ利活用等の在り方
 
(意見)
 P.23の【考え方】に、「生成AIなどの、社会の基盤となり得る技術やサービスのように、社会にとって有益であり、公益性が高いと考えられる技術やサービスについて、既存の例外規定では対応が困難と考えられるものがある。」とあるが、生成AIに関して「社会にとって有益」で「公益性が高い」ものという一面的な捉え方を前提に扱うことに、消費者・市民として強い違和感がある。
安易に現行の例外規定の枠を広げるべきではない。医療情報等も含め、利活用については、徹底した透明性が必要であり、仮に例外規定を広げる場合には、消費者を含めた慎重な議論が必要である。
(理由)
 生成AIのような技術は、社会、そして個人にとって有益である場合がある一方で、本人の権利利益を侵害する可能性もまた極めて高い技術であることは現代社会の共通認識である。
医療情報等も含め、個人の権利利益の保護の観点から慎重に検討されなければならない。
 
以上