【パブコメ】消費者基本計画(素案)に対する意見

2025年1月23日

消費者庁消費者政策課

消費者基本計画(素案)に対する意見

主婦連合会

「消費者基本計画(素案)に対する意見」に対する意見募集はこちら

 

第3章 多様な主体が連携して推進する消費者政策
3.消費者への期待
(2) 消費者団体への期待

意見No.1
P.28、3行目
「消費者を取り巻く環境の変化によって消費者の関心・問題意識は多様化しており、消費者政策は幅広い分野に関わることから、特定分野で活動を行う団体も含め、その自主的な取組が期待され、行政はこうした取組を支援・強化する」という記述がありますが、支援のための具体的施策について、この項目でなくても、他のしかるべき章での追記も含めて、記述することを求めます。

第4章 消費者政策における基本的な施策
1.消費生活を取り巻く現状の課題への対応
(1) デジタル技術の飛躍への対応 
(デジタル技術の活用と消費者被害の防止の両立)

意見No.2
P.29、10行目~
 定期購入やサブスクリプション契約について、素案には言及されていない視点として、以下のことを追記することを求めます。定期購入やサブスクリプションは、高齢者や認知機能が低下している場合に、気づかずに支払いを続けてしまう可能性があります。また今後更に超高齢化社会が進むなかで、認知症になる前の契約が認知機能が低下した後に、必要がなくなってもそのまま解約されずに続いてしまう事例が多発することが予想されます。通常の認知能力であってもデジタルコンテンツのサブスク契約等は継続していることに気づきにくい場合もあります。一定期間での契約の再確認を義務化する等、消費者保護の視点から具体的な措置を検討する旨の記載を求めます。

意見No.3
P.29、10行目~
 若い世代からの意見を募る機会を増やすことについて言及してください。新しい技術についていち早く察知し、消費行動に取り入れる世代が、何をどのように購入しているか定期的に確認する機会を設けることで、デジタル技術が進展する社会での消費者トラブルの未然防止・拡大防止を行うことが求められます。その旨の記述を求めます。

意見No.4
P.29、30行目
「2021年の特定商取引法の改正において、最終確認画面において定期購入契約ではないと消費者を誤認させるような表示等を禁止するなどの規制を設け、消費者が誤認して申込みをした契約の取消権を通信販売では初めて創設した。本改正を踏まえ、通信販売業者に対する行政処分も行っているところであり、当該規定の周知や有効活用の推進に努めるとともに、効果をしっかりと見定めていく。」とありますが、依然として問題のある広告は多く、定期購入に関する被害は続いており、2021年の改正だけでは不十分であることは明らかです。被害防止に向けて、更なる法的整備が必要であり、特定商取引法の改正について言及すべきです。

意見No.5
P.29、35行目
SNS・チャットによる通信販売等の勧誘について、調査及び法執行とともに、被害の未然防止のために特商法の改正など早急な法的ルールの整備が必要です。その旨記載を求めます。

意見No.6
P.30、2行目
「事業者による特定商取引法上の広告表示義務の遵守状況が具体的に確認・検証できるよう、消費者に広告や最終確認画面のスクリーン・ショットの保存を呼び掛ける等の取組を行っていく。」とありますが、この記述は消費者が買い物の都度、あらゆる契約についての広告および最終画面をスクショでコピーし、保存することを求めるものであり、極めて不合理な施策です。現状、ネット広告のランディングページは途方もなく縦長であることが多いという実情から見ても、個々の消費者がすべての広告等をスクショで保存するより、通信販売業者に保存義務を課す方が社会全体の保存コストは低く抑えられ、紛争になった場合も争点が少なく済み、消費者保護の観点からも、また経済的観点からも、通信販売業者に広告等の保存・開示義務を課すべきであることは明らかです。その際、業者には広告等の表示内容を変更した場合は、変更の度に、すなわちすべてのバージョンの広告等の表示を保存させることが重要です。施策の方向性、記述の変更を求めます。

意見No.7
P.30、5行目
 悪質な事業者に対する「特定商取引法等の厳正な法執行」は勿論ですが、被害防止のために必要な法律改正を行うことを明記すべきです。また更に情報化社会に則した新たな法制度の検討も視野に入れることについて言及すべきと考えます。
(違法・有害情報等からの消費者利益の擁護)

意見No.8
P.32、5行目
インターネット上の違法・有害情報の流通は誹謗中傷等だけではなく、青少年に対する有害な広告についても規制が必要です。見るに堪えないひどい内容の広告が多く掲載されているのが現状です。ユーザーが安全・安心して利用できる環境のためにインターネット上の広告に関するルール整備の必要性についての記載を求めます。

2.消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会の確保
(1) 消費者の安全の確保
③ 食品の安全性の確保

意見No.9
P.42、23行
「科学的知見に基づき、食品衛生法における食品等に係る規格及び基準を策定しつつ、食品衛生監視行政と連携し、食品の安全性を確保する。特に、安全性が確認された範囲でのみ使用等可能とする」と書かれていますが、細胞食品やゲノム編集食品等の新規開発食品については十分な安全性・環境への影響が確認されているとは言えません。食品の新しい技術に対して、十分な安全性確認が必要であること、また慎重な対応が必要である旨、記述すべきです。

(2) 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
① 公正な取引環境の確保

意見No.10
P.43、6行目
被害が多く報告されている取引や特に悪質な取引に関しては、消費者庁からSNSに注意喚起が表示される方法での情報提供を行うなどの施策の導入について言及してください。

⑤ 食品表示に関する対応
(機能性表示食品等に関する対応)

意見No.11
P.47、2行目
「機能性表示食品制度に対する消費者の信頼性を高めるため、改正した食品表示基準について事業者に対する周知、及び消費者の適切な商品選択に資するよう普及啓発に取り組む。」とありますが、機能性表示食品に関してはインターネットを含む宣伝・広告の規制強化が先であるはずです。その旨、この項あるいは他のしかるべき項に記載すべきです。

意見No.12
P.47、4行目
 機能性表示食品に限らず、サプリメント形状の食品全般の安全確保のための新たな規制については危機感を持って急ぎ検討を始めるべきです。そのことについて、しかるべき項に記載して下さい。
(時代に即した食品表示への対応)

意見No.13
P48、1行目
「ゲノム編集技術応用食品等」についての記述がありますが、これに限らずフードテックについては、生態系や環境及び健康への影響について、透明性を確保し、消費者に対して分かりやすい情報の提供を行うこと、安全性の根拠を示すことが必要である旨、この項目あるいは他のしかるべき項で記載すべきです。

意見No.14
P48、3行目
 加工食品の原料原産地表示については「必要な調査等を検討する」とありますが、「必要な見直しを行う」にすべきです。特に「国内製造」は消費者の選択に資する情報となっておらず、誤認を与えていることに鑑み、早急な見直しが求められます。その旨の記載を求めます。
全体、その他

意見No.15
「エシカル」、「消費者志向経営」、「有機農業」の推進及び推進への理解といった文言はありますが、「アニマルウェルフェアの推進・理解への取組み」について書かれていません。消費者がアニマルウェルフェアの推進の重要性を理解し、選択に活かすことができる情報提供や表示が求められます。この視点について、しかるべき項において記載すべきです。

意見No.16
「消費者力を習得する等により、消費者トラブルに巻き込まれないよう自ら務めることが不可欠」(P27)、「消費者教育の推進」(P36)等、全体通じて消費者の自主的な取組み、行動変容を求める記述に重きが書かれています。一方で、被害の実態、社会の変化に応じた法令の見直し、新たなルールの導入などについての言及は希薄です。その点から記述の見直し、追記を求めます。

意見No.17
 食品による健康被害について、救済制度の創設を検討することについて、しかるべき項に記載することを求めます。

意見No.18
PFASについての十分な調査や情報提供、規制の強化について、しかるべき項において記載することを求めます。

意見No.19
以前は工程表が作成され、計画の目標や、それに基づく進捗状況を確認するこが可能でした。基本計画自体に、担当省庁や法令など具体的な記載が極めて少ない中で、年ごとの課題と進捗をどのように公表し、確認・検証を可能としていくのかを、計画の中で示すべきです。

以上