2025年9月19日
法務省民事局参事官室
民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案 に関する意見募集への意見
主婦連合会
◆意見1
第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設 について
〈意 見〉
方式全般への考え方について。
デジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設については、国民(遺言者)の意思をできるだけ簡便に実現するという視点から、いずれか一つの方式に限定するのではなく、複数の方式を提示し、国民(遺言者)自らに合った方式を選択できるようにすべきと考えます。
◆意見2
第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設
1 新たな遺言の方式 について
〈意 見〉
甲1案に賛成です。
〈理 由〉
多くの国民の日常生活において、デジタル機器の使用が不可欠となりつつある現代では、遺言を簡便に作成できる新たな方式として①遺言の全文等を電磁的記録によって作成できるようにすることは、必要と考えます。②二人以上の証人を必要とすることに関しては、証人に遺言の内容を知られることなるため、守秘義務の周知徹底をすること、証人等に有利なように悪用されないための工夫などが必要と考えます。③録音・録画を要件とすることは、生成AI技術の進歩などによるなりすましなどが現実のものとして懸念されます。この点について引き続き検討すべきと考えます。
◆意見3
第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設
1 新たな遺言の方式 について
〈意 見〉
甲2案に反対です。
〈理 由〉
証人の立ち合いを不要とし、民間事業者のサービスの利用を想定していますが、サービスの具体的内容や仕組みが不明です。また、電子署名については、パスワードの管理など、国民への普及は途上であると思われます。
◆意見4
第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設
1 新たな遺言の方式 について
〈意 見〉
乙案に賛成です。
〈理 由〉
遺言の全文等を電磁的記録によって作成することと しているところについては【甲1案】の①について述べたものと共通です。②公的機関が保管申請時の本人確認を行った上で保管すること
については、偽造・変造の防止及び確実な発見については担保され、また、家庭裁判所における検認手続きを要しないため、国民(遺言者)にとってメリットが大きいと考えます。
◆意見5
第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設
1 新たな遺言の方式 について
〈意 見〉
丙案に賛成です。
〈理 由〉
遺言の全文等を電磁的記録によって作成することと しているところについては【甲1案】の①について述べたものと共通です。電磁的記録したものをプリントアウトするなどして遺言の全文等が記載された書面を作成することは、国民にとって、従来の自筆証書遺言に最も近く、かつ、簡便であり、遺言作成の端緒と成り得ると考えます。公的機関が保管申請時の本人確認を行った上で保管することについては、【乙案】の②について述べたものと共通です。
◆意見6
第2 自筆証書遺言の方式要件の在り方
1 自書を要しない範囲 について
〈意 見〉
「財産目録について自書を要しないものとする現行法の規律を維持し、自書を要しない範囲を拡大しないものとする」ことに賛成です。
〈理 由〉
自筆証書遺言は、他人が作成に関与せず、財産目録を除く全文、日付及び氏名が自書されていることで、真意性・真正性を担保しており、また遺言者の熟慮を促していると考えられるためです。
◆意見7
第2 自筆証書遺言の方式要件の在り方
2 押印要件 について
〈意 見〉
【甲案】に賛成です。
〈理 由〉
現行法の下でも押印に用いる印章に制限はなく、認印で良いとされています。日常生活においても押印廃止の流れが加速していますし、印章は現在、簡単に入手できます。全文及び氏名等の自書することにより真意性・真正性を担保できると考えます。
◆意見8
第3 秘密証書遺言の方式要件の在り方
1 規律の在り方の方向性 について
〈意 見〉
「秘密証書遺言については、現行の方式要件を維持するとともに、デジタル技術を活用した新たな方式を設けないものとする」ことに賛成です。
〈理 由〉
秘密証書遺言の最大の特徴である「内容を知られずに作成できる」が不可能になるためです。また、公証人に封紙してもらう手続きもデジタル化によってできなくなると思われます。
以上