【申告書】《ノンアルコール飲料と清涼飲料に関する申告書》

《ノンアルコール飲料と清涼飲料に関する申告書》
2003年6月3日

《公正取引委員会  宛》

 

微量アルコール含有飲料の表示の問題性について
飲酒運転による交通事故が多発し、昨年6月に道路交通法の改正が行われて、飲酒運転の罰則が強化されました。それに伴い、「酒類」ではないことをセールスポイントとしたアルコール分1%未満の「ビール」「日本酒」「ワイン」「チューハイ」などが出回るようになりました。

これらの商品には、ノンアルコールビール、アルコールフリー、ビヤテイスト炭酸飲料、清酒テイスト、清涼発泡飲料などまちまちの表示がなされています。そもそも「ノンアルコール」とか「アルコールフリー」という名称は、アルコールが全く含まれていないという意味に受け取れますから、これが消費者を誤認させる不当な表示に当たることは明らかです。一部のメーカーで「ノンアルコール」表示をやめるなどの動きは出ていますが、徹底されてはいません。

また、アルコール分の%表示のないもの、あるもの、あっても側面に小さな字で書かれていて読みにくいものなどが混在し、消費者の誤認を招いている状態です。

運転についての表示にも問題があり、ポッカのノンアルコール・チューハイ「運転CHU」は、「飲んでものれるノンアルコール飲料……ドライブのお供に」と書いてあるその下に「運転しながらの飲用は危険ですのでお避けください」とあり、支離滅裂としか言いようがありません。

「カクテル炭酸」の問題性について
「ノンアルコール・ビール」が人気を博すと、酒類の製造工程を経ずにたんに風味を似せたというだけで「チューハイ」「カクテル」を冠する炭酸飲料が登場しました。前述のポッカの「運転CHU」と、キリンビバレッジのカクテル炭酸「WO:」です。そもそも、チューハイやカクテルとは、酒類を清涼飲料や果汁で割ったものを呼ぶわけで、風味を似せただけの炭酸飲料に「チューハイ」「カクテル」という名称を使うのは不当です。

 これらの表示はどれも消費者を混乱させ、誤認を招くものであり、「不当景品類および不当表示防止法」第4条3号に基づき、貴委員会において調査の上、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害する恐れがある表示として指定する措置を講ずるよう求めます。

 なお、調査の結果をご連絡いただきたいと思います。

【申告にあたっての現状について】
上記の商品は、アルコール分が含まれているにもかかわらず酒類には当たらないため、未成年でも堂々と飲むことができます。実際に5月31日には、室蘭市の中学生65人が集団でノンアルコールビールを飲む問題が起きました。

 また前述の「WO:」は、「酒じゃないのに熱くなる」とテレビで大々的な宣伝を行なっています。

 これらの酒類類似飲料が未成年者の本格的な飲酒のきっかけとなる事態を、懸念しています。