《通勤線駅構内での酒類販売中止を求める要望書》
2001年2月8日
《国土交通省大臣 扇 千景、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社 宛》
1月26日、山手線・新大久保駅のホームで酒を飲んでいた男性がふらついてホームから転落、助けるために線路に降りた男性2人も巻き添えになって、3人が死亡するという痛ましい事故が起きました。
この事故を機に、ホームからの転落事故を防ぐ安全対策が急務であるという世論が強まり、JRとしても検討を始めたことが報道されています。
その際に、忘れていただきたくないのは、ホームでの人身事故の7割弱が酔客だということ。加えて、今回酔って線路に落ちた男性は、飲酒しての帰路に新大久保駅構内の売店で酒を買い、ホームで飲んでいたという事実(新聞・テレビ報道による)です。
新大久保駅にかぎらず、多くのJR通勤線のホームや構内の売店で酒が売られており、その周辺で立ち飲みをしたり、床に座って酒盛りをしている人たちがいます。
ホーム上に酒スタンドがある駅もあります。このような状況は、酔客自身の危険性だけでなく、他の乗客への迷惑にもなっています。駅は酒場ではないのです。
ただでさえJRは酔客の嘔吐や喧嘩、駅員への暴力、階段やホームからの転落事故などに悩まされているはずなのに、どうして山手線など通勤線のホームで酒類を売り、飲酒を促すようなことをするのでしょうか。
鉄道の<運転の安全確保に関する省令>は、「安全の確保は運輸の生命である」と定め、「従業員は協力一致して事故の防止に努め、もって旅客及び公衆に損害を与えないように最善をつくさなければならない」と定めています。狭いホームと階段、混雑、高速での電車の進入…どう考えても、酔客が増えれば事故の可能性が高まることは明らかです。実際、今回の事故以前にも多くの死傷事故が起きており、救助しようとした人が巻き添えになるケースも初めてのことではありません。本当に乗客の安全を第一に考えているならば、「お酒は控えめに」といった方向のPRに力を入れるべきところなのに、JRは逆に駅構内での酒類販売を許して積極的に酔客を増やしてきたのではないでしょうか。
今回の事故の一因は、JRがホームや駅構内での酒類販売を許してきたことにもあると言わざるを得ません。この悲しい事故を契機に、以下の3点を検討中の安全対策に盛り込まれることを、強く要望します。
記
1.通勤線の駅構内での酒類販売を中止すること。
2.ホームでの飲酒を禁じること。
3.転落等の事故の危険性を訴えるなどして、酔客を減らす積極的な努力をすること。
以上