《遺伝子組み換え食品16品目の安全性再審査等を求める要望書》
1997年5月9日
《小泉純一郎厚生大臣、食品衛生調査会委員長および各委員 宛》
私たちは、遺伝子組み換え食品が食卓にのぼることに強い不安を抱いており、少なくとも表示の義務付けをするよう、再三にわたり厚生省に要請してまいりました。
遺伝子組み換え食品は、科学的見地からみて、新たなアレルゲンになる可能性、予測不可能な毒物の発生する可能性など、潜在的危険性を否定することができません。
このような先端技術を応用した新開発食品は、慎重な手続きで十分な時間をかけて食品としての安全性の確認をし、それを食べることになる消費者の理解と納得を得なければなりませんが、私たち消費者は、すでに認められた7品目および、今年3月にバイオテクノロジー特別部会から報告のあった8品目および1食品添加物について、不安を打ち消すことができません。
これらの計16品目は、導入遺伝子生産物の毒性試験については、「安全性評価指針」に記載されたもののうち、急性毒性データの確認しかされておりません。食品衛生調査会は、同指針に記載されたその他の亜急性毒性、慢性毒性、生殖に及ぼす影響、変異原性、がん原性、その他(腸管毒性試験等)についても、省略することなく、データの提出を再要請し、確認をするよう要請いたします。さらに、アレルギーに関する実験が必要不可欠です。上記の導入遺伝子生産物試験に併せて、7品目および今回の9品目計16品目について、最終生産物に関わる種々の毒性試験データおよびアレルギーに関する資料の提出、確認をされるよう、強く要請いたします。
私たちは、遺伝子組み換え食品の実用化につきましては、上記の安全性再確認に加え、今の日本人の食生活や農業の現状に照らして遺伝子組み換え食品の有用性、必要性、かつ緊急性があるかどうかをぜひ食品衛生調査会で検討していただきたいと考えております。また、消費者の選択と知る権利を保障し、企業の責任を明確にするための表示の義務付けについても検討していただきたいと考えます。
遺伝子組み換え食品として申請されているのは、大豆をはじめ、食用油原料、じゃがいもなど、日本の日常的な食事の基幹となる食品です。単に狭義の科学的安全性にとどまることなく、国民の健康や食文化、日本の農業を守るという基本的で広い視野にたった見識のもとに、食品衛生調査会の結論を出されるよう要望いたします。
以上