【要望書】《遺伝子組み換え食品の表示を求める要望書》

《遺伝子組み換え食品の表示を求める要望書》
1997年2月26日

《小泉純一郎厚生大臣、藤本孝雄農林水産大臣、根来泰周公正取引委員長  宛》


農薬(除草剤)をかけても枯れない大豆や菜種、虫を寄せつけないトウモロコシやジャガイモなど、他の生物の遺伝子を組み込んでつくった「遺伝子組み換え食品」の輸入が本格化されようとしています。

 遺伝子組み換え技術は生命の根本を操作するものです。その作物に従来なかった遺伝子が導入されることで、組み換えた作物にはそれまでになかったタンパク質がつくられることになります。予期せぬアレルギー物質や毒性の発生する危険性や、環境へとりかえしのつかない影響を与える恐れのあることが、内外からさまざまに指摘されています。

 厚生省は昨年秋、これらの7品目について「安全性に問題はない」と認めましたが、私たち消費者は、このような遺伝子組み換え食品が一般に流通し、消費者が食べることになることに強い不安を抱いています。

 また、今回の大豆、菜種にみられるように、除草剤のメーカーがそれとセットで除草剤に耐性をもつ遺伝子作物の商品化を進めており、巨大多国籍企業による農業・食糧の支配が強まることへの危惧もあります。

 私たちは、このような遺伝子組み換え食品を知らないうちに食べさせられることはとうてい納得できません。少なくとも、不安や危惧を抱く消費者が自主的に選択できるよう、貴省が食品衛生法に基づき、原材料として使用されたものも含め表示を早急に義務づけられるよう強く要望いたします。

 

《遺伝子組み換え食品に関する要望書》
1996年12月19日

《藤本孝雄農林水産大臣、小泉純一郎厚生大臣、青島幸男東京都知事  宛》


微生物の遺伝子を作物に組み込み、除草剤や害虫に抵抗力を持つといわれているいわゆる「遺伝子組み換え食品」の輸入が本格化されようとしています。

 対象の作物は、大豆、菜種、トウモロコシ、じゃがいもの4品目で、近々この作物による食用油やフライドポテトなどの食品が家庭でも食されるとともに、学校給食としても活用される見通しです。日本の大豆や菜種の自給率が極めて低いことから今後大量に輸入される可能性があります。

 厚生省は、大豆や菜種など7品種について、「安全性に問題はない」として輸入を認めましたが、消費者の中にはこの遺伝子組み換え食品の安全性について、「遺伝子組み替えは従来とは全く違う新しい技術であり、遺伝子そのものは問題がないとしても、新たに作り出された酵素が健康障害やアレルギーなど身体に悪影響を及ぼすのではないか」「遺伝子組み換え作物は除草剤に耐性を持つため、農薬使用が増加するのではないか」「生態系への影響はどうなのか」など不安を抱くものも少なくありません。

 消費者の不安を解消するためには、必要な情報を公開し、選択の権利を確保する必要があります。しかし、国は「表示は必要ない」と言っています。

 主婦連合会は、遺伝子組み換え食品の安全性の確認に努力するとともに、食品添加物と同様に、遺伝子組み換え食品の表示の義務づけを早急に行うよう強く要望します。

以上