2007年9月5日
厚生労働大臣 宛
野菜ジュースに関する要望書
主婦連合会
今スーパーやコンビニの店頭で、「1本(あるいは1杯)で1日分の栄養素が簡単にとれる」と消費者が誤認するような食品が多数販売されています。特にメーカー各社が競って販売しているのが野菜飲料であり、「厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量350グラム」を「生野菜や煮物などから摂取するのはたいへんだが、これなら1本(あるいは1杯)で手間もかけずに手軽に採れる」と大きくアピールし、売り上げを伸ばしています。
実際に350グラム分の野菜を使用して作られていても、摂取量はそれを大きく下回ることが、名古屋市消費生活センターの18年度商品テスト結果(別添・ http://www.seikatsu.city.nagoya.jp/test/shibai/yasai.pdf)からも明らかとなっており、商品の表示から野菜350グラムの摂取を期待して購入する消費者に誤認を与える状況となっています。
「野菜1日これ1杯」と目立つように大きく表示し、「1日分の野菜350グラム分使用」は小さく表示しており、その表示では「原材料としてそれだけの野菜を使っているということで、同量の野菜を食べた場合と同じ栄養素が摂れるわけではない」という正しい情報は消費者に伝わりません。
また、飲みやすくなめらかにするために繊維質を減らしている商品もあると聞きます。野菜不足や肥満対策、がんの予防等を過度に期待させ、その商品を飲むだけで厚生労働省の推奨している栄養素を十分摂取できると受け取れる表示は問題です。野菜から得られる栄養素は野菜そのものからきちんと摂ることを推奨し、「野菜系飲料はあくまで補助として利用すべきもの」という情報を明確に提供すべきだと考えます。
野菜系飲料に関しては、国民生活センターが2000年に商品テストを実施しており、「手軽に野菜が摂れる」とした表示には問題がある、として対象メーカーに対し改善要望を出しています(別添・http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20001106_1.html)。しかしながら状況は改善せず、かえって消費者の誤認を招くものが増えてきていることは見逃せません。
なお、飲料だけでなくヨーグルトやスープなど様々な商品でも、例えば緑黄色野菜40グラム入りの「朝の1食野菜ヨーグルト」や120グラム入りの「1日分緑黄色野菜スープ」、ほかにもカルシウムやビタミンCの1日必要量摂取をうたう「1日分食品」は続々販売されています。
昨今政府は「食育」に非常に力を入れていますが、正しい食育には「正しい表示」が必須条件です。消費者に誤認を与えるような表示は許すべきではありません。公正取引委員会がこれらの実態を調査し、適切な措置を採られることを求めます。
以上