【声明】《国民生活センターの見直しに関する政務三役の決定及び大臣声明に反対します~「いわゆる政府から独立した組織のあり方」を検討対象に含めることへの要望~》

申し入れ・要望

2012年1月6日

国民生活センターの見直しに関する政務三役の決定及び大臣声明に反対します
~「いわゆる政府から独立した組織のあり方」を検討対象に含めることへの要望~
 

主婦連合会

山岡賢次消費者担当大臣は、昨年12月27日、「国民生活センターの在り方の見直し」に関する政務三役の協議結果として、同センターの各機能を「国へ移行することが妥当」とする旨、記者発表されました。

その中で、「平成25年度を目途に国民生活センターの各機能を国へ移行するため所要の法整備等を行う」との判断を示されました。これは、「検証会議」における「中間取りまとめ」の結果とそこでの議論の経緯を軽視した極めて拙速と思われる判断であり、消費者行政の今後について大きな禍根を残すものです。

この判断は、昨年8月のタスクフォースの取りまとめ段階で、なぜ当時の政務三役が検証会議での再検討を要請したのか、その趣旨を軽視することに加え、検証会議での検討課題や、その後の検討経緯、及び、検証会議に対する消費者団体等の意見を省みようとしない姿勢を示したものであり、結局、検証会議の中間取りまとめを都合の良いように解釈したものと考えざるを得ません。

主婦連合会は、「国民生活センターの国への移行」には、なお懸念が多いことを踏まえ、以下に示すように、政務三役の判断及び大臣声明に疑義を提示するとともに、改めて「政府から独立した法人」としての選択肢も検討対象に含めるべきであることを訴えます。

1.主婦連合会は国民生活センターを「政府から独立した法人」と位置付けるべきであり、その方向性に沿った見直しを検討すべきであると要求してきました。その方向性は検証会議の中間取りまとめにも記載されております。
しかし、大臣声明は、その主張について「実現を図ることは難しい」とし、その理由として、(1)深刻な財政状況、(2)国民生活センターの機能を強化する必要性、(3)政府全体の独立行政法人改革の動向、の三点をあげています。
しかし、(3)について、そもそも私たちは、国民生活センターを独立行政法人改革の対象に含めるべきはないことを提案しており、(2)については、国センの機能強化こそ必要と主張してきました。また、(1)の「深刻な財政状況」は一般論に過ぎず、国民生活センターの消費者行政に占める特殊性と、独立した組織として存立する意義を考慮していないものです。新しい法人になるとはいえ、今まで以上の財政支出を招くものではありません。要するに、私たちの主張に対する反対理由としては納得できるものではありません。

2.大臣声明は、主婦連合会などの政府から独立した法人という主張については「国への移行の中でその趣旨を活かすことが現実的であると判断した」としています。
しかし、国の機関へ移行することと、政府から独立した法人として存立することとは、そもそも趣旨が異なります。「その趣旨を活かす」ということは言葉遊びに過ぎません。

3.検証会議の検討の場では、今回の見直しの起点となった「国民生活センターと消費者庁との業務の重複」について、「重複はない」との意見が主婦連合会からの委員をはじめ、何人かの委員から強く提示されました。
この点について大臣声明は何ら触れておらず、十分な検討の片鱗すらなく、重大な問題を残すことになりました。業務の重複が「ない」のに、「ほとんど重複している」とみなして国への移行を進めるなら、消費者行政強化につながらないばかりか、職員の削減を招く結果となります。
業務に「重複はない」ことをきちんと見据えた検討を要求します。 

4.大臣声明にある「国」への移行とは、業務が重複しているとみなされている「消費者庁」への移行のことであり、それをどの機関への移行かあいまいにしている点で議論の広がりがあるかのような、誤解を与える内容となっています。ことの本質が隠されていると思わざるを得ません。大臣声明は、反対や懸念の強かったタスクフォースのとりまとめに依拠した判断であり、時計の針を戻す内容であると言わざるを得ません。

5.主婦連合会の「政府から独立した法人」という国民生活センターの組織のあり方は、「法テラス型」などが参考にできます。決して非現実的な内容ではなく、選択肢から排除すべきものではありません。

以上の点から、主婦連合会は、12月27日の三役決定に基づく大臣声明について反対を主張するとともに、検証会議の中間取りまとめにあるように、「政府から独立した法人」についても選択肢から排除することなく、検討対象に含めることを要望いたします。

以上