2014年6月21日
内閣総理大臣 宛
集団的自衛権の行使を容認する「解釈」改憲に断固反対します
主婦連合会
政府が17日に提示した集団的自衛権の行使を容認するための閣議決定案の概要には、自衛権発動の新3要件が盛り込まれ、(1)他国に対する武力攻撃が発生したことによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること、(2)これを排除するために他の適当な手段がないこと、(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、とされていますが、「脅かされ」たり「おそれ」があるだけで自衛権の行使ができることが認められれば、武力行使の範囲が際限なく広がる可能性があり、撤回すべきです。
既に「この新3要件を適用し、国連の集団安全保障で武力行使を可能にする調整に入った」とも報道されていますが、国際法で武力行使とみなされている海中への機雷の敷設や除去を行えるようにすることは「国際紛争解決のための武力行使」であり、憲法が禁じています。安倍首相が国会で「自衛以外の目的での海外派兵は決してない」とくり返す答弁とも矛盾しており「限定的行使」の枠を飛び越えるものです。このような、憲法9条の解釈を根底から覆す安全保障政策の大転換が、十分な議論もないまま閣議決定されることは絶対に許されません。
集団的自衛権の行使とは、他国を守るために戦争をすることであり、明らかな憲法違反です。憲法によって制約を受ける政府や国が、都合よく解釈を変更し、派兵を許し、戦闘に加わることなどあってはなりません。世界中で紛争が絶えない今日、武力行使によって平和が実現するどころかかえって憎悪をかきたて、事態を悪化させています。国民を守るためと安倍首相は繰り返しますが、かえって平和を壊し国民を危険な状態に陥れる可能性があることに言及しないのは、国民に対して極めて無責任です。国際的な平和を創造することを呼びかけた憲法前文、そして戦争を放棄し戦力を保持しないとする憲法9条はますますその存在意義を増しています。
安倍首相の政治手法は説明も議論も足らず、人々の健康や安全な暮らしへの配慮も全く感じられません。独断的なそのやり方は非民主的であり、認められるものではありません。
私たちは平和で、いのちと暮らしを尊ぶ社会を求めます。集団的自衛権の行使を、政府が「解釈」によって容認することを認める閣議決定、立法化には断固反対します。
以上