2015年1月28日
≪内閣総理大臣
経済産業大臣
農林水産大臣
内閣府消費者担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
商品先物取引における不招請勧誘禁止規制の緩和に抗議し、その撤回を強く求めます
主婦連合会
1月23日、経済産業省及び農林水産省は、現在原則禁止されている商品先物取引における不招請勧誘について、規制緩和するための商品先物取引法施行規則の改正を定めたとの突然の報道がありました。
商品先物取引に関しては、長年消費者からの苦情トラブルが絶えず、深刻な被害を出したことから、2009年の法改正で不招請勧誘禁止規定が導入されたという経緯があります。不招請勧誘禁止規定が導入されたことで、商品先物取引によるトラブルは大幅に減少しました。
今回の施行規則改正は、不招請勧誘規制の対象外となる類型を追加するもので、顧客が65歳未満で一定の年収若しくは資産を有するなど、一定の条件を満たせば勧誘が認められることになります。しかし要件への適合性は勧誘行為の中で確認されるものであり、不招請勧誘の禁止規定は骨抜きになります。
投機性の高い商品先物のような取引は、本来、投資知識や経験が豊富で、余裕資金のあるプロ投資家が行うべきものであり、そもそも訪問・電話勧誘などに適さないものです。このようなトラブルの多い取引への勧誘規制の緩和によって市場活性化を目指すのであれば、政府の経済政策は、国民の幸福のためではなく、国民に大きな損失を与えてでも業界の権益を拡大することを目的としていると言わざるを得ません。
トラブルを防ぐ規制によって商品先物市場が縮小したというのであれば、その市場自体の根本的問題に目を向けるべきであり、縮小された規模こそ、その市場に合った適正なものと考えます。
電話・訪問による不招請勧誘規制は、アメリカのDo Not Callのように、むしろさらに拡大すべきものです。消費者の安全・安心が確保されてこそ、個人消費の拡大による経済回復が期待できると考えるべきです。
以上