2015年4月12日
消費者担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
日本動脈硬化学会の提言を重んじトランス脂肪酸の表示を義務とすることを求めます
主婦連合会
トランス脂肪酸の過剰摂取は、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが明らかとなっており、アレルギー疾患や免疫力の低下とも関係しているとの指摘も多くあります。そのため多くの国で表示は義務化されており、使用制限や使用禁止へと向かっています。
しかしながら、日本においては一部の偏った食事をする人を除きリスクは低いとして、表示は義務化されていません。トランス脂肪酸の健康影響についての情報も少なく、摂取に気を配る人も多くありません。最も影響が心配とされる子どもや若い女性に過剰摂取が存在していることは大きな問題です。
3月20日に開催された消費者委員会食品ワーキンググループ第3回では、日本動脈硬化学会の前理事長で消費者委員会臨時委員の寺本民生氏より、トランス脂肪酸の摂取を減らすために表示が必要であるとの意見表明がありました。同学会は2013年にトランス脂肪酸の表示を「ただちに行うこと」とする要望書を総理大臣および消費者庁長官に提出しています。寺本氏は改めて、学術的見地からトランス脂肪酸の心血管病への影響は明白であり、米国で2006年にまとめられた報告書においても作用機序として立証されていると説明。動脈硬化が完成するには何10年もかかり、結果としてある日突然イベント(心筋梗塞)という形で現れることから、ファーストフードの日本上陸が1970年代であることを考えると疫学的な実証には時間を要するが、将来深刻な問題となると予測しています。
若い世代、特に子どもたちへの影響が大きいことをもっと真剣に考えるべきだと述べた上で、健康寿命延伸のための対策として、予防医学の重要性とそのことを補完する社会システムの重要性、世代間で知恵を継承していくことの重要性を強調され、トランス脂肪酸についてはやはり限りなくゼロを目指すべきであり、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸と分けて表示することが望ましいと提言しました。
主婦連合会はこれまでもトランス脂肪酸を表示義務とすること、少なくとも表示を推奨項目とすることを求めて参りましたが、残念ながら新しい食品表示基準においても任意表示項目のままです。表示されていない以上、消費者がトランス脂肪酸の摂取を控えたくても表示を見て選択することができません。また、事業者側の削減努力にもつながりません。
消費者委員会では、トランス脂肪酸を題材としたWGは終了とし、とりまとめを行なう予定とのことですが、日本動脈硬化学会の提言、そしてその要望には日本高血圧学会、日本循環器学会、日本小児科学会等、六つの学会が同意していることを重く受け止め、トランス脂肪酸の表示義務化へ向かうことをあらためて求めます。
以上