【意見書】《都市ガス自由化にあたり、料金規制存続の経過措置を求めます》

申し入れ・要望

2016年2月19日

資源エネルギー庁ガス市場整備課 ガスシステム改革に向けた意見募集担当 宛

都市ガス自由化にあたり、料金規制存続の経過措置を求めます

主婦連合会

 ■意見
2月5日の液化石油ガス流通ワーキングの資料では、全国約5500万件需要家の内、都市ガス件数が約2600万件、LPガスの約2400万件と圧倒的多数は家庭用であり、日常生活に必須のエネルギーであることがわかります。従って、仮にも自由化に伴って都市ガス料金値上げという事態となれば、一般家庭にとって経済的打撃となり、自由化の目的から見て本末転倒ということになります。

都市ガス自由化は、電力自由化と同様、販売者の変更に手間とコストがかからないことから、新規参入によって活発な競争がおこり、大多数の家庭消費者に多様なサービスが安く安全に供給されることが期待されています。しかしながら、電気は太陽光など地域で発電できますが、天然ガスでは、ガス管が繋がっていない遠隔地の地方都市への新規供給者が期待できず、全国隅々までの活発な競争状態は難しいことは想像に難くありません。このことは、電気小売での新規参入者の料金メニューが多電力消費世帯に集中していることや、東電や関電以外の地方電力会社の地域では、規制料金で高止まりし、安くなっていないことからも明らかです。大口ガスでも、新規参入が盛んなのは大手都市ガス三社内で全国の参入件数率は数%で、家庭用まで競争が起こらないことが予想されます。

都市ガス参入が活発化しなければ、自由化しても従来の都市ガス事業者の独断場となり、さらに料金規制の消費者保護策がないと、価格交渉力の低い家庭世帯に競争の激しい大口需要の低ガス価格を皺寄せした値上げとなる可能性があります。そうなった場合、消費者はそれが不服でも、他燃料への転換には費用がかかるため、多くの家庭用都市ガス消費者が選択の余地なく高い価格を受け入れざるを得ない事態となります。特に地方の家庭や自営業者の都市ガス料金が値上げされれば、アベノミクスの目玉である地方創生に逆行することになりかねません。

自由化の目的は、「都市ガス同士の競争活性化を通じた選択肢拡大と低廉な料金の実現」で、電力同様に事業者変更の費用がないことが前提です。それを「都市ガス同士の競争の可能性が低い従来のガス事業者も、他燃料との競争があるので料金規制経過措置をガス小売自由化実施前から外す」として、家庭消費者に他燃料転換の負担を前提として拡大することは、今後も都市ガスを利用せざるを得ない家庭消費者への保護意識が欠如しています。例えば賃貸マンションの二階以上に居住する人は、大型のオール電化貯湯器やLPボンベをベランダに置くことができません。持家でも、ガス料金の値上げを理由に器具の買替えまでしてオール電化にする事態は、ガス自由化の失敗と言っても過言ではありません。

全国の家庭消費者の最大の懸念事項は、ガス自由化によるガス料金の値上がりであり、主婦連合会はこのような事態を招かないよう、政策的措置が導入されることを強く要望します。具体的には、都市ガスの料金規制の経過措置的存続とともに、措置を解除する要件となる競合実態の基準が骨抜きにならないことです。

今回のガス小売全面自由化の主役は一般家庭の都市ガス消費者です。一般消費者が納得できる経過措置の基準策定を強く望みます。

 

以上