【申告書】《キリンビールの「氷結果汁」についての申告書》

《キリンビールの「氷結果汁」についての申告書》
2001年6月8日

《公正取引委員会  宛》


キリンビール株式会社のホームページによると、同社は2001年7月11日、「氷結果汁」という名称で低アルコール飲料(チューハイ)を発売する予定です。

 当該商品の容器には「氷結果汁」という商品名が表示されており、清涼飲料水のような印象を与えますが、実際には低アルコール飲料です。さらに、「天然クリアストレート果汁を使用」と表示しているにもかかわらず、果汁含有量の表示(○○パーセント)がないことから多量に果汁を含有しているかのように誤認されます。

 同商品は消費者を誤認させる名称・表示であり、『不当景品類及び不当表示防止法』第4条に違反すると考えます。よって、公正取引委員会がこれらを調査し、排除措置をとられることを求めます。

 なお、調査の結果は連絡いただきたく思います。

 

【申告にあたっての現状について】
近頃、多種多様の低アルコール飲料(リキュール類)が販売され、その種類は増加する一方です。名称や図柄に果物などを表示しているため、一見して清涼飲料水と区別がつきません。よほどはっきりとアルコール飲料であることを打ち出さない限り誤飲事故を招きかねません。また、未成年飲酒も心配されます。

アルコール飲料は、致酔性・依存性の特徴を持つ商品です。未成年飲酒者の増加、飲酒による障害(急性アルコール中毒、飲酒運転・転落などの事故、肝臓障害など慢性疾患、アルコール依存症など)等、大きな社会問題となっています。ラベルに「これはお酒(さけ)です」と表示さえすればよいというものではありません。酒類メーカーには、飲酒にはさまざまなリスクが伴うという情報を提供する責務があると考えます。

1999年8月、消費者・市民団体は日本洋酒酒造組合に対し、清涼飲料水と低アルコール飲料の区別がきちんとできるよう「低アルコール飲料(清涼飲料的酒類)の表示」に関して申し入れを行っています。その後、同組合では「お酒マーク」の自主設定を決めましたが、この深刻な事態はそれだけでは改善できません。このような状況を配慮し、事実関係の調査及び適切な処置をとられることを求めます。