2019年10月23日
厚生労働大臣
消費者及び食品安全担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
主婦連合会
すべてのゲノム編集技術応用食品に安全性審査と表示の義務化を求めます
ゲノム編集技術応用食品の流通と販売の届け出制度が10月1日から始まりました。消費者庁はゲノム編集技術応用食品の表示について、編集した旨の表示を事業者に義務付けないことを発表し、義務化が見送られました。その理由を、既存の品種改良との区別が難しく、義務化しても検査して違反者を特定することができないためとしています。
遺伝子を人工的に操作して生み出す食品でありながら、安全性審査と表示義務の対象外としたことに私たちは大きな違和感と失望を覚えています。
以上の観点から、下記の項目を要望します。
記
1.すべてのゲノム編集技術応用食品に対し、安全性審査を義務付けてください。
ゲノム編集技術はまだ歴史の浅い技術です。アレルギー成分の変化などへの懸念も拭い去れません。予期せぬ変異のリスクがゼロとは言えないと考えられることから、安全性審査の義務付けが必要だと考えます。
2.ゲノム編集技術応用食品は、早急に食品表示基準の対象に入れるよう、検討に着手してください。
検査できないことが、表示しない理由にはなりません。むしろ検査等でわからない事を不安に思う消費者の声に真摯に耳を傾け、消費者が食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的に選択する事を目的とした「食品表示基準」の対象とすべきです。
3.ゲノム編集技術応用食品に対し、取引記録など書類による情報伝達体制(トレーサビリティ制度)を導入してください。
取引記録などの社会的検証による表示は可能と考えます。原料段階の表示があれば食品製造者の原料管理は容易となり、混入事故も防止できます。EU(欧州連合)の例を見れば、表示をすることも表示を検証することも困難なことではありません。
4.消費者の選択のためには、情報開示が不可欠です。
消費者が自分の判断で食品を選べることが大切です。その視点で表示のあり方を検討し、表示により消費者に選択の判断を委ねるべきです。今回の措置は、消費者の権利を尊重し、適切に行使できるようにするという、消費者行政の目的と相いれません。消費者が自ら望む食品を選択するために情報提供は必要不可欠です。
以上