《「第4期消費者基本計画」(案)に関する意見》

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申し入れ・要望

2020年1月23日

消費者庁消費者政策課御中

「第4期消費者基本計画」(案)に関する意見

主婦連合会 
   会長 有田芳子 

1.全般
消費者基本計画は、消費者政策推進の基盤となる大変重要な計画です。消費者庁には、消費者が安全安心に生活する権利のため、消費者行政の司令塔としての役割を期待します。司令塔には、社会の変化に合わせて、消費者生活を包括的かつ戦略的に推進することが求められ、消費者問題を全方位的に見渡しながら、消費者視点で個別案件や他省庁所管案件に柔軟かつ速やかに対処できることが必要です。したがって、計画全体を通じて、消費者庁には、消費者問題にしっかりと向き合い、着実な法整備を行い、それに基づく執行力の強化を図ることを求めます。消費者の安全安心のための必要な施策が実行される内容としてください。

2.第1章2. P3 12行目から
消費者政策の展開において、消費者庁と消費者委員会が設置されたとあります。そして、消費者庁についての記述はありますが、消費者委員会に関する記述がほとんどなく、どのような活動を行ったのかがわかりません。消費者委員会に関する記述を追加してください。

3.第1章3. P4 1行目 
「いわゆる『一般的・平均的消費』 」とありますが、この定義が曖昧でよくわかりません。消費者は、あらゆる機会に消費者被害に遭う可能性があります。その上で、一時的な脆弱性が増大した場合にはさらに被害に遭いやすくなります。ここは、「全ての消費者についても」としてください。

4.第2章1. P5 3行目
「消費者の脆弱化・多様化」というタイトルについて、消費者はそもそも情報の格差などがあり、事業者に対して脆弱であり、その上でさらに配慮が必要な状況になっていると考えられます。第3章2.③(P13 32行目)の記述において「消費者の多様な特性」とあり、P14 1行目に「多様化する消費者にきめ細かく対応」と記述されていることから、ここは、「消費者の多様化」とすべきです。

5.第3章2. P12 28行目から
消費者政策の推進に当たっては、消費者政策の根幹である「消費者庁が消費者行政の司令塔機能として、各省庁と連携して施策を推進する」ことを前面に出してください。

6.第3章2.(1) P12 33行目から
消費者被害の防止には、まだまだ課題が多く、法律の見直し等、法整備が必要とされています。消費者保護に資する施策についての一層の充実・強化を図るためには、「厳格な法執行」に加えて「着実な法整備」を行うという記述が必要です。

7.第3章2.(1)③ P13 32行目 
「消費者の多様な特性に応じたアプローチ」とありますが、情報化社会の中においてネットにアクセスできない人の不利益をどのように少なくしていくか、という視点を記述してください。

8.第3章2.(1)③ P13 34行目
「いわゆる『一般的・平均的消費者』であっても」とありますが、この定義が曖昧でよくわかりません。消費者は、あらゆる機会に消費者被害に遭う可能性があります。その上で、一時的な脆弱性が増大した場合にはさらに被害に遭いやすくなります。ここは、「全ての消費者は」としてください。

9.第3章2.(3)② P15 24行目 
「事業者とのWIN-WIN関係」には違和感があります。環境問題等で協働は必要だとしても、消費者庁の役割は消費者が主役の社会とすることであり、その利益が第一の立場を貫くべきです。

10.第3章2.(4)① P16 17行目から32行目
『Society5.0 は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会であり、その中で消費生活も大きく変化すると考えられる。』とありますが、Society5.0は、内閣府が「目指すべき未来社会の姿」として実現させようとしているいわば理想像です。案のような書き方ですと、そのような社会は技術の進歩により実現され、その新しい社会がもたらす変化への対応だけが必要なようにも受け取れますが、それでは消費者への対策として遅く、弱すぎます。『経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会』は、国際及び国内の必要な規制強化を含むルールの整備等が伴って初めて実現できるものです。そのような社会の実現に向けては、「人間」(消費者)の権利を保障するため、新たな視点での消費者法制の整備が必要であることを記述してください。また、必要な施策として、行21-32までの記述に、「寡占企業によるデータ独占がもたらす情報の非対称性を是正するための法整備」「デジタルサービスの利用において、データの取り扱い等、消費者自身の意思の反映、選択の権利の行使が保障されるために必要な法整備」の論点を追加してください。

11.第4章(1) P18 11行目から
PIO-NETの問題点が記述していないため、何をどのように刷新するかについて不明です。現状の問題点と刷新する内容について具体的に記述してください。また、新規システムやチャットロボットの導入に当たっては、相談者が戸惑うことがないよう、消費者目線を踏まえることが必要です。

12.第4章(4) P20 8行目から 
消費者行政における法律の執行体制については、司令塔機能としての消費者庁の目的を明確にした記述すべきです。制度整備においては、法執行のみではなく、着実な法整備を求めます。特に、12行目からの「関係する所管法令等が存在しない商品やサービス」に対しては、消費者庁こそが取り組むべき課題です。自主規制のみではなく、しっかりした対応を行うことが必要です。

13.第5章1.(1) P21 25行目
食品について、「生産から流通・販売までの各段階における安全性の確保を図る必要性がある」としています。正しい表示や情報提供のためにも過程を履歴として記録し、後から確認できるようにするトレーサビリティ制度が必要です。国際的な動向を踏まえると、社会的検証としてトレーサビリティについての記述を盛り込んでください。

14.第5章1.(1)① P21 31行目
「事業者による安全確保の取組等が重要である」とありますが、それでは記述が不十分です。「必要な法制備を行うこと」を追加してください。

15.第5章1.① P21 35行目 
「身近な化学物質製品等に関する正しい知識が得られるよう」とありますが、前段に「事業者による安全の確保の取組等が重要であり…」と記載されています。身近な化学物質製品においても安全性の確保が最優先であるため、「身近な化学物質製品等の利用時の安全性を確保すると共に、正しい知識が得られるよう」とし、必要な施策や法整備を進めることを確認するものとしてください。

16.第5章1.(1) ① P22 1行目
「宅地造成に伴う災害や建築基準法等の法令についての違反への対策等に対して、地方公共団体に対する助言等の支援を行う」とありますが、この記述では事故の未然防止の観点から個別的であるため、その前に「建築物に関連する消費者事故の未然防止に関連して」と加えることを提案します。

17.第5章1.(1)① P22 4行目
子供の事故防止のために、関係者の意識を高めることだけに言及していますが、それでは不十分です。「安全基準の策定や必要な法制備を行う」ことを記述してください。

18.第5章 1.(1)① P22 6行目
生命・身体に係る危害の発生防止について、喫緊の課題として情報共有や実態把握の強化にとどまらず、「安全の基準の策定や必要な法整備を行うなど」という点を追加してください。

19.第5章1.(1)④ P23 33行目 
食品関係事業者のコンプライアンスの徹底の促進のために、社会的検証として過程を履歴として記録し、後から確認できるようにするトレーサビリティについての記述を盛り込むことが必要です。

20.第5章1.(2)⑤ P27 12行目
「消費者にとって見づらい等の食品表示における課題を解決し」とありますが、表示に求められるのは、商品の正しい情報提供です。必要な情報が正しく誤認されることなく示され、かつ見やすいものとなるよう、「消費者の誤認を招く表示、見づらい表示、といった課題を」としていただき、検討を進めてください。

21.第5章1.(2) ⑤ P27 20行目から
食品表示全体や産地情報の伝達の監視について、効率的効果的な執行を図り、適切な食品表示を確保するために、社会的検証としてトレーサビリティについての記述を盛り込むことが必要と考えます。

22.第5章1.(2)⑨ P28 33行目から
情報通信技術の活用拡大について、神奈川県におけるハードディスク管理の問題を鑑みると、個人情報だけではなく、行政機関における情報の管理についても記述が必要です。

23.第5章1.(4) P30 6行目から
ADRだけではなく、消費者相談についても、消費者は適切な相談窓口がわからないことが多いことから、まずは消費者生活センターが窓口になり、そこから適切な相談窓口に案内できるよう連携の強化を図ること、そして連携していることを消費者に周知することを追加してください。ICTやAIの活用拡大については、相談者が戸惑わないよう、消費者目線を踏まえた活用を行うことが必要です。

24.第5章2.(3)  P31 20行目から
水産エコラベルなどのエシカル消費の普及啓発にあたっては、消費者が持続可能性に配慮した商品を選択できるようにする必要があります。このためには、トレーサビリティを盛り込むことが持続可能な社会の形成に欠かせないと考えます。

25.第5章3.(1) P32 25行目から
AI・ビッグデータの活用、キャッシュレス決済は、「経済発展と社会的課題の解決の解決を両立する」と言い切り、消費者には「激しい変化にも柔軟に対応し、トラブルを適切に処理できるよう」「危険性を認識し、リテラシーを高め・・」云々を求めるといった記載になっています。高齢化等による脆弱性を強調しているにもかかわらず、一方で無理な責任を負わせているようで違和感があります。新しい技術の推進や経済成長優先に、いつも保護政策が後追いになっていることを真摯に受け止め、何よりまず消費者保護政策を優先し、誰も置き去りにしないことを謳う内容としてください。「利便性とセキュリティ確保の調和」ともありますが、利便性と並行してセキュリティの確保を進めるべきです。

26.第5章3.(1)① P32 34行目から
ネットの特性として、双方向性があり、消費者が取引の買い手だけでなく、売り手になることもあります。個人間取引とともにPF事業者と売り手となった消費者間のトラブルという観点も盛り込んでください。

27.第5章5.(1) P36 15行目
消費者政策の透明性の確保は重要であり、消費者庁においては、取組や成果についての情報公開などを積極的に行うことを求めます。また、消費者の意見の反映については、当事者の声を聞くことも加筆してください。

以上