【声明】国際刑事裁判所(ICC)の独立と法の支配を守るため日本政府に毅然とした対応を求める声明

申し入れ・要望

2026年9月2日
主婦連合会

声 明

国際刑事裁判所(ICC)の独立と法の支配を守るため
日本政府に毅然とした対応を求める声明

 

 2026年8月18日、米国政府は、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らを新たに制裁対象に指定しました。ICCは、ジェノサイド、人道に対する犯罪、戦争犯罪など、国際社会全体に関わる最も重大な犯罪について個人の刑事責任を追及するための常設の国際裁判所です。その裁判官や検察関係者が、司法上の職務を遂行したことを理由として一国の政府から経済制裁を受けることは、司法の独立を脅かし、国際社会における法の支配を揺るがす深刻な事態です。

 私たちは消費者・市民の団体として、この問題を国際司法に携わる人々だけの問題とは考えません。一国の政府による制裁が国境を越え、市民の日常生活や市民社会の活動を事実上制約し、司法や人権擁護に携わる人々を萎縮させることは、市民の権利と自由に関わる重大な問題です。

 消費者運動は、一人ひとりの生命と暮らし、権利を守ることを原点としてきました。戦争や武力による紛争で最も深刻な被害を受けるのは、そこで暮らす市民です。だからこそ私たちは、力によってではなく法によって人々の生命と権利が守られ、重大な国際犯罪については、誰が、どの国が関係しているかにかかわらず、公正な司法によって責任が問われる国際社会でなければならないと考えます。ICCの独立を守ることは、法の支配を守ることであり、ひいては平和を守ることにつながります。

 日本は2007年にICCに加盟して以来、その活動を財政的・人的に支え、「法の支配」を外交の重要な柱としてきました。今回守られるべきものは、赤根所長個人の利益にとどまらず、国家の政治的・経済的圧力から独立して司法がその責務を果たすという原則そのものです。

 高市総理は8月25日、今回の制裁について「日本の立場と相容れるものではなく、大変深刻に受け止めている」と表明し、政府が制裁発動前から米国に働きかけ、赤根所長への支援を行ってきたことを明らかにしました。しかし、制裁が現実に発動され、ICCへの圧力が強まっている現在、日本政府にはさらに明確で具体的な行動が求められています。

 私たちは、日本政府に対し、以下の対応を求めます。

 

  1. 米国政府に対し、赤根所長をはじめとするICC関係者等への制裁に明確に反対し、その撤回を求めること。
  2. ICCの独立性を尊重し、その司法活動が政治的・経済的圧力によって妨げられることを許さないという日本の立場を、国際社会に明確に表明すること。
  3. ICC加盟国と連携し、ICCへの人的・財政的支援を維持強化するとともに、加盟国への脱退圧力などICCを弱体化させる動きに対して、加盟各国と協調して対応すること。
  4. 米国の制裁が日本国内に域外的な効果を及ぼし、金融機関や事業者の「過剰準拠」によって、制裁対象者や関係する市民団体等の正当な活動や生活が不当に妨げられることのないよう必要な措置を講じ、そのために必要な法的・制度的対応を進めること。 

以上