2018年1月22日
総務大臣
消費者担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
4K8K放送対応テレビにおいてCASを受信機に内蔵しコストを消費者負担とすることに反対します
主婦連合会
4K8K放送に関する昨年12月5日の国会審議や各種の報道によれば(注1) 、CAS(Conditional Access System、限定受信システム)を内蔵した機器なしには4K8K放送を視聴できない仕組みが、消費者不在のまま、NHKが主導する新CAS協議会において決定されたとのことです。
CASは、(1)コンテンツ保護のための「スクランブル解除機能」、(2)NHKが衛星放送を視聴する消費者にCAS番号、氏名、住所などの登録を依頼、及び、(未契約の場合は)受信料契約促進のための「メッセージ表示機能」、(3)有料放送事業者が契約者を判別するための「加入者識別機能」を実現するものです。従って、通常のテレビを視聴する消費者にとって必要な機能ではありません。これについては、地上デジタル放送開始と同時に、通常のテレビ受信機に初めてB-CASカードが導入されたときからの問題であり、内臓チップであるかどうかにかかわらない問題点です。
その上で、新CAS協議会及びそれらの会員であるNHKや有料放送事業者は、現行のB-CASカードを視聴者に無償貸与する方法は止めて、4K8K対応テレビではCASチップを受信機に埋め込んで消費者に有償で販売しようとしています。つまり消費者にCASに伴う不利益に加えて費用負担をも強いる仕組みを導入しようとしているのです。CASの受益者はNHKや有料放送事業者です。受益者負担の原則によれば、CASの費用は、NHKや有料放送事業者が負担すべきものです。
これにより、優越的地位を有する新CAS協議会の会員であるNHKや有料放送事業者が、有料放送の視聴者との間の、有料放送の視聴契約の取引条件を一方的に変更するおそれや、消費者に不要な品物の購入を強いる点で不当な抱き合わせ販売に該当するおそれがあるなど、独占禁止法上問題があるとの指摘もあります。
このままでは消費者が4K8K放送を受信できるテレビを購入する場合、CASチップが内蔵された製品以外の選択肢がなくなることになります。無料放送および公共放送における4K8K 放送は国民の資産である電波を用いて行われる公共的なサービスですから、消費者が大きな影響を受ける以上、この問題は消費者を代表する団体を含む適切なメンバーが参加し、開かれた議論によって決定されるべきです。
上記をふまえ、以下の通り意見を述べます。
記
1.4K8KテレビへのCASチップの内臓および消費者へのコスト押し付けには反対です。決定の白紙撤回、消費者代表の参加による開かれた議論の場の設置を求めます。
以上
(注1)
本田雅一 http://toyokeizai.net/articles/-/181314
「B-CASカードは4K/8Kになると”悪質化”する、NHKが密室で主張していることとは?」東洋経済2017年7月21日
本田雅一 http://toyokeizai.net/articles/-/205142
「NHK受信料「徴収督促チップ」が全テレビに!? 全受信機にACASチップを入れるのは不当だ」東洋経済2018年1月18日
小寺信良 https://av.watch.impress.co.jp/docs/ex/kodenishi/1073341.html
「テレビのCASがまたおかしな事に。これで消費者の理解は得られるか?」AVWATCH 2017年8月1日
2018年1月22日
公正取引委員会委員長 宛
4K8K放送対応テレビにおいてCASを受信機に内蔵しコストを消費者負担とすることに反対します
主婦連合会
4K8K放送に関する昨年12月5日の国会審議や各種の報道によれば(注1) 、CAS(Conditional Access System、限定受信システム)を内蔵した機器なしには4K8K放送を視聴できない仕組みが、消費者不在のまま、NHKが主導する新CAS協議会において決定されたとのことです。
CASは、(1)コンテンツ保護のための「スクランブル解除機能」、(2)NHKが衛星放送を視聴する消費者にCAS番号、氏名、住所などの登録を依頼、及び、(未契約の場合は)受信料契約促進のための「メッセージ表示機能」、(3)有料放送事業者が契約者を判別するための「加入者識別機能」を実現するものです。従って、通常のテレビを視聴する消費者にとって必要な機能ではありません。これについては、地上デジタル放送開始と同時に、通常のテレビ受信機に初めてB-CASカードが導入されたときからの問題であり、内臓チップであるかどうかにかかわらない問題点です。
その上で、新CAS協議会及びそれらの会員であるNHKや有料放送事業者は、現行のB-CASカードを視聴者に無償貸与する方法は止めて、4K8K対応テレビではCASチップを受信機に埋め込んで消費者に有償で販売しようとしています。つまり消費者にCASに伴う不利益に加えて費用負担をも強いる仕組みを導入しようとしているのです。CASの受益者はNHKや有料放送事業者です。受益者負担の原則によれば、CASの費用は、NHKや有料放送事業者が負担すべきものです。
これにより、優越的地位を有する新CAS協議会の会員であるNHKや有料放送事業者が、有料放送の視聴者との間の、有料放送の視聴契約の取引条件を一方的に変更するおそれや、消費者に不要な品物の購入を強いる点で不当な抱き合わせ販売に該当するおそれがあるなど、独占禁止法上問題があるとの指摘もあります。
このままでは消費者が4K8K放送を受信できるテレビを購入する場合、CASチップが内蔵された製品以外の選択肢がなくなることになります。無料放送および公共放送における4K8K 放送は国民の資産である電波を用いて行われる公共的なサービスですから、消費者が大きな影響を受ける以上、この問題は消費者を代表する団体を含む適切なメンバーが参加し、開かれた議論によって決定されるべきです。
上記をふまえ、以下の通り意見を述べます。
記
1.4K8KテレビへのCASチップの内臓および消費者へのコスト押し付けには反対です。決定の白紙撤回、消費者代表の参加による開かれた議論の場の設置を求めます。
2.独占禁止法違反のおそれある行為につき、早急に正式な調査を開始してください。
以上
(注1)
本田雅一 http://toyokeizai.net/articles/-/181314
「B-CASカードは4K/8Kになると”悪質化”する、NHKが密室で主張していることとは?」東洋経済2017年7月21日
本田雅一 http://toyokeizai.net/articles/-/205142
「NHK受信料「徴収督促チップ」が全テレビに!? 全受信機にACASチップを入れるのは不当だ」東洋経済2018年1月18日
小寺信良 https://av.watch.impress.co.jp/docs/ex/kodenishi/1073341.html
「テレビのCASがまたおかしな事に。これで消費者の理解は得られるか?」AVWATCH 2017年8月1日