2021年1月12日
内閣府特命担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛
特定商取引法における契約書面等の拙速な電子交付化に反対し、
十分な議論と慎重な対応を求めます
主婦連合会
昨年8月に特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会の報告書が取りまとめられました。その後、規制改革推進会議第3回成長戦略ワーキング・グループ(11月9日開催)において、特定継続的役務提供における概要書面及び契約書面の電子化について取り上げられ、消費者庁はデジタル化を促進する方向で適切に検討を進めると回答しました。
特定商取引法で規定されている取引類型は登録制等の参入規制がなく、またその取引類型特有の問題により消費者トラブルを誘発することから、消費者保護のために法的規制が導入されているものです。中でも特定継続的役務提供は、長期にわたる契約のため契約内容が複雑になりがちで、消費者トラブルが多発しているのが現状です。
特定商取引法では、契約の申込時、及び契約締結時に、事業者に「書面」による交付を義務付けています。これには訪問販売や電話勧誘販売等の不意打ち型の勧誘、儲け話を誘引文句とする取引、長期にわたる複雑な契約などに対して、消費者が冷静に契約内容を確認しないまま契約締結に至ることを防ぐ機能があります。また、後日、契約内容と履行状況の適合性を確認する資料として、契約内容を手元に残しておくこともできます。
こうした機能が電子交付化によって間違いなく担保できるのかどうか疑問です。また、契約書面等の電子交付化により、スマートフォンの小さな画面で、複雑な契約条件の中にある重要事項を確認することが難しくならないか、不利な特約に気づき難くなるのではないか等、さらなる消費者トラブルの発生につながることが懸念されます。このように、規制の実効性が保たれるのかなど、電子交付化について消費者保護の観点からの十分な議論がなされていない状況の中、まずは慎重な検討を行うことが必要です。
主婦連合会は、特定商取引法における契約書面等の拙速な電子交付化に反対し、消費者保護のための規制の効果が損なわれないよう、十分な議論の場の確保と慎重な対応を求めます。
以上