【声明】原子力発電所の再稼働及び新設に断固反対します

 

申し入れ・要望

原子力発電所の再稼働及び新設に断固反対します
~原発推進から、再生可能エネルギーを最優先させる政策への転換を求めます~

2022年9月22日

主婦連合会

岸田総理は就任以来「原発の新増設は想定していない」としていた立場を覆し、8月24日、原発新増設や建て替えについて検討を進める考えを示しました。また、原則40年とする運転期間の延長も検討する方針としています。さらに9月16日付の全国紙では、原発の新設に消費者が費用負担する案を経産省が示したと報道されています。
政府は、ロシアによるウクライナ侵攻によりエネルギーの安定供給が揺らいでいること及び気候変動への応急策として、新規の原子力発電所の増設の必要性を打ち出しています。しかし、「クリーンエネルギー戦略」の中間整理で積極的な支援方針を掲げた小型モジュール炉(SMR)について、田中俊一前原子力規制委員会委員長は、出力10万キロワット級のSMRでも、求められる安全性は従来の大型原発と同じで、コスト、スピード(工期)、廃棄物、核拡散に関して、大型炉と同等の問題が存在すると指摘しています。産業革命後の地球の気温上昇を2℃未満にとどめるという世界的な気候目標の達成を、新増設のSMRで行うのは工期的にも困難です。
原発はひとたび事故が起きれば取り返しがつかない被害をもたらします。福島第一原発事故から11年以上経ちますが、避難者のうち帰還できたのは一部にすぎず、多くの人々が故郷へ帰る事もできずにいます。
世界でも有数の火山国であり地震大国である日本において原発を推進することは、国民の命と財産を将来にわたりリスクにさらし続けることに他なりません。事故が起こっても原子力関連メーカーは製造物責任法(PL法)の適用から除外されています。廃炉についても未だ見通しすら立っていません。使用済み核燃料の処分問題も解決していません。更に、紛争時に原発が攻撃対象となり得ることをウクライナの状況がはっきりと示しており、テロなどの標的とされる危険も常に存在します。
以上のことから、私たちは原発再稼働及び新設に断固反対します。
いま世界各国では、原発は安全対策費用が高まり続けていること、ひとたび事故が起きた場合の補償、廃炉などの費用が莫大であることなどから、原発依存からの脱却の方向性が示され、安全かつクリーンな発電技術の実用化に向けて競争が起こっています。政府が今すぐに進めるべきは再生可能エネルギーを最優先させる政策への転換です。そして、廃炉技術の確立、原子力に頼らない安全でクリーンな発電、省エネ対策の導入などエネルギー利用の効率化に向けて、その技術開発に国力を注ぐべきです。

以上