【要望書】《今こそ全食品に実効性のあるトレーサビリティ制度の導入を》

2022年3月29日

農林水産大臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
消費者庁長官
消費者委員会委員長  宛

 

今こそ全食品に実効性のあるトレーサビリティ制度の導入を

主婦連合会

熊本県産アサリをめぐる産地偽装問題を受け、消費者庁と農林水産省は18日、食品表示基準のガイドラインの改正について発表した、と報道がありました。アサリの産地を証明する資料を例示し、輸入業者や国内生産者に産地表示の根拠となる書類の保存徹底を求めるとのことであり、資料を揃えていない場合は不適切な表示であることを疑うと説明しています。

今回、産地偽装が行われる構造的な問題にようやく切り込み、輸入から国産への産地切り替えが事実上不可となる、不正の出来ない仕組みを作ろうとしていることは評価します。しかし、そもそも何故長期にわたり不正が見逃がされて来たのか、生育期間が最も長い場所を原産地と表示できるルールの悪用は他の農水産物にも広がっているのではないか、といった疑問、懸念は多くの消費者が持っています。

信頼できる正しい表示でなければ、消費者の自主的かつ合理的な食品選択の権利は確保出来ません。偽装問題についての徹底的な調査と結果の公開を求めるとともに以下を要望します。

 

 

1. 全ての食品へのトレーサビリティ制度の導入と、誤認を与えない表示を求めます
アサリの問題が大きなニュースとなった後も、ワカメ、ウナギなど産地偽装の報道が続いています。また、菌床シイタケのように、海外で製造された菌床を輸入して国内で収穫すれば「国産」表示でよい、といった問題もあります。繰り返される偽装表示をなくし、誤認を与えない表示とするには、透明性ある流通のしくみの確立、つまりトレーサビリティ制度の導入が何より重要です。これまで重大な事故・事件がある度に個別にトレーサビリティ制度が導入されて来ましたが、今求められているのは、全ての食品において、表示の根拠となる書類の保存徹底による消費者にとって正直でわかりやすい情報です。トレーサビリティ制度の導入により、多くの消費者が求めている遺伝子組換え食品やゲノム編集技術応用食品などの表示も可能になると考えます。

2. 行政による監視体制の強化を求めます
食品表示の偽装や不正な行為を防ぐためには、関係省庁が相互に十分な連携を図り、一体となって迅速かつ適切に対応することが必要です。行政機関による監視機能を整備し、食品表示に対する消費者の信頼を揺るがす事犯の取締りを強化し、罰則を強化するなど再発防止を図ることを求めます。

以上