2022年4月7日
消費者庁消費者政策課宛
「消費者基本計画工程表」改定素案に関する意見
主婦連合会
※「消費者基本計画工程表改定素案」はこちら
Ⅰ 消費者被害の防止
(1)消費者の安全の確保
② 消費者事故等の情報収集及び発生・拡大防止
Ⅰ-18 ア 消費者安全調査委員会による事故等原因調査等の実施
「今後の取組予定 ○消費者庁の取組」のところに、事故情報の収集・通知制度において、現状における問題点の把握をもとに、情報の質、量を向上させるため、制度の一部見直し等に関して記載してください。
Ⅰ-22 ウ リコール情報の周知強化
リコール情報の周知について、地方公共団体に対してだけではなく、消費者にリコール情報を届けるための具体的な取組みを明記してください。(P22)
④ 食品の安全性の確保
Ⅰ-58 ク 食品のトレーサビリティの推進
アサリの偽装問題にあるように、現状では食品表示法では「2か所以上で生育した場合、最も育成期間の長い場所を原産地として表示する」ことになっています。しかし、この仕組みよって消費者は「純国産」だと誤認しかねない状況です。これまで重大な事故・事件がある度に個別にトレーサビリティ制度が導入されて来ましたが、繰り返される偽装表示をなくすために、全ての食品へのトレーサビリティ制度の導入と、誤認を与えない表示を求めます。トレーサビリティ制度の導入により、多くの消費者が求めている遺伝子組換え食品やゲノム編集技術応用食品などの表示も可能になると考えます。
Ⅰ-61 ケ 食品衛生関係事犯及び食品の産地偽装表示事犯の取締りの推進
消費者庁や関係機関と連携し、情報収集、食品表示に対する国民の信頼を揺るがし、国民の健康を脅かす可能性が高い事犯の取締りについて、具体的な取組みを明記してください。
(2) 取引及び表示の適正化並びに消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
① 商品やサービスに関する横断的な法令の厳正な執行、見直し
Ⅰ-64 ア 特定商取引法等の執行強化等
契約書面の電子化については、消費者からの承諾の取り方、電磁的方法による提供のあり方について、消費者保護のための規制が損なわれることがないよう、十分な議論と慎重な対応を行い、必要な措置の実施を求めます。また、引き続き特定商取引法及び預託法の執行強化に努めてください。
Ⅰ-65 ア 特定商取引法等の執行強化等
「今後の取組予定 ○消費者庁、経済産業省の取組」に、特定商取引法平成28年改正の5年後見直しについて、社会の実情、被害実態に照らして、必要な法改正を行う旨を記載してください。
Ⅰ-69 ウ 消費者契約法の見直しに向けた対応
「今後の取組予定 〇消費者庁、法務省の取組」に、認知症等判断能力の衰えた高齢者に対する勧誘に基づく申込み・契約締結についての取消権の導入、および、契約締結を安易に誘導しながら 取引の解約を不当に制限する条項を原則として無効とする規定の導入など、として、具体的な検討課題を記述してください。
② 商品やサービスに応じた取引の適正化
Ⅰ-78 ア 電気通信サービスに係る消費者保護の推進
今後の取組として、現在普及が進みつつある5Gにおける消費者保護に関する課題とその解決について検討することを記述してください。
③ 不当な表示を一般的に制限・禁止する景品表示法の厳正な運用
Ⅰ-113ア 景品表示法の厳正な運用及び執行体制の拡充
SNSが生活に浸透してくる一方でYouTube、インスタグラムでは、自然な投稿にみせかけて、商品やサービスを紹介するステルスマーケティングが急増しています。消費者に対し広告であることを隠しながら行う販売促進活動のなりすましや、実物よりもよいものだとRPするレビューの記載、実物にはない機能や効果を評価した投稿が増えてきています。優良誤認表示や有利誤認表示により消費者が不当に正しい情報を得られないことは問題です。また企業側の認識不足から意図せず拡散されることもあることから、「宣伝行為」であることの明記を義務化することで、インフルエンサーや個人の規制の強化を求めます。
⑤ 食品表示による適正な情報提供及び関係法令の厳正な運用
Ⅰ-126ア 食品表示制度の適切な運用等
ゲノム編集技術応用食品については、消費者の選択する権利の確保として、厚生労働省に届出されたゲノム編集技術応用食品であることが明らかな場合には、事業者に対し積極的に表示等の義務化を行ってください。また、インターネット販売による食品購入が増加していますので、消費者が確実に商品を選択できるようインターネット販売における食品表示の検討について具体的に明記してください。
Ⅰ-131ウ 関係機関の連携による食品表示の監視・取締り
食品表示の偽装や不正な行為を防ぐためには、関係省庁が相互に十分な連携を図り、一体となって迅速かつ適切に対応することが必要です。行政機関による監視機能を整備し、食品表示に対する消費者の信頼を揺るがす事犯の取締りを強化し、罰則を強化するなど再発防止を図ることを求めます。
(3) ぜい弱性等を抱える消費者を支援する関係府省庁等の連携施策の推進
Ⅰ-178 ① 成年年齢引下げを見据えた総合的な対応の推進
成年年齢引下げに関する取組みは、令和4年度以降も引き続き社会経験の少ない若者やその周りの大人に対する施策として必要です。若年者への実践的な消費者教育の進捗状況のフォローアップを行い、必要な施策を明記し、実行してください。
Ⅱ 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会 構造の変革の促進
(3) その他の持続可能な消費社会の形成に資する消費者と事業者との連携・協働
Ⅱ-36 ③ 「ホワイト物流」推進運動の展開
物流の利便性向上を追求するニーズの高まりから税関の執務時間延長が可能となり24時間開庁を掲げています。物流業界での働き方改革の問題解決のためには、過剰な物流サービスを求める消費者行動を変革する必要性が求められています。貿易統計細分化の見直しによる手続きの効率化、荷役主となる企業の理解、荷主企業による緊急度・重要度の低い納期の要求には延長措置を可能にする対応を求めます。消費者庁や関係機関との連携で、物流業界全体の合理化・最適化に向けた検討を明記してください。
Ⅲ 「新しい生活様式」の実践その他多様な課題への機動的・集中的な対応
(1)「新しい生活様式」の実践や災害時に係る消費者問題への対応
Ⅲ-3 ① デジタル・プラットフォームを介した取引等における消費者利益の確保
インターネット上におけるアフェリエイト広告への対応について、消費者の誤認を招く恐れがあるステルスマーケティングについての実態把握及び検討実施を行うことを工程表に記載してください。
(2)デジタル社会での消費者利益の擁護・増進の両立
① 経済のデジタル化の深化に伴う取引・決済の高度化・円滑化等への対応
Ⅲ-34 ア キャッシュレス決済及び電子商取引における安全・安心の実現
キャッシュレス決済の利用が増加していることから、事業者には適切なシステムや情報管理が求められます。不正使用やシステム障害などの防止のために必要な対応を行うことを記載してください。
以上