2022年10月24日
法務省民事局参事官室 宛
民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案に対する意見
主婦連合会
※民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の取りまとめについてはこちら
◆第1(家事事件)の1(裁判所に対する申立て等)の(2)(インターネットを用いてする申立て等の義務付け)イ(家事事件の手続において裁判所から選任された者)について
【意見】
「乙案 家事事件の手続において裁判所から選任された者について、特段の規律を設けないものとする。」に賛成です。
【意見の理由】
成年後見人等には親族や市民後見人などが選任されているケースが相当数あります。成年後見人等は人物(人格)として適任の者が選任されるべきであって、人選の際に、インターネットを使うスキルやネット環境がその要件に入ることにより、制度の趣旨に沿った人選が歪められる可能性があります。よって、申立て等にインターネットを用いることの義務付けには反対です。
◆第3(破産手続)の7(公告)について
【意見】
甲案、乙案とも反対です。
破産手続の公告については、法人と個人でその方法を変えるべきです。
➢個人破産について
甲案、乙案は、共に「官報への掲載」を前提としていますが、個人破産については公告のあり方を見直し、官報への掲載をやめるべきです。甲案、乙案とも反対です。
また、個人破産については裁判所ウェブサイトへの掲載をすべきではありません。従って「注1」に反対です。
個人破産については、裁判所の掲示場への掲示や裁判所設置端末での閲覧のみによる公告を行うこととすべきです。従って「注2」の前半部分に賛成します。
➢法人破産について
IT化を進めるという観点から、法人破産に限れば、甲案あるいは「注1」のどちらかのかたちで、裁判所のウェブサイトに掲載する方法での公告を行うことに賛成です。
【意見の理由】
法人破産は、全ての財産を処分し、清算して、法人格を消滅させる手続であるのに対し、個人破産は、生活に必要な財産を残しながら、免責許可決定を得て、経済生活の再生の機会を確保するための手続です。法人破産と個人破産は、その目的、手続き共に異なるため、公告の方法も変えるべきです。
以下、個人破産について、意見の理由を述べます。
個人破産は、法人破産とは異なり、破産者の個人情報保護、プライバシーの侵害防止、経済生活の再生の機会の確保といった観点から、公告の在り方を見直す必要があります。(「注2」の前半部分)
官報への掲載は、「破産者マップ」事件など、多くの弊害をもたらしているので、やめるべきです。また、裁判所のウェブサイトに掲載するのは、現状の官報よりも、さらに、不必要な情報拡散を招くおそれがあります。破産の事実を知人や職場に知られてしまうことを恐れ、多重債務の問題を解決する手段として自己破産手続を選択することを避けてしまう事態は、破産制度の目的である「経済生活の再生の機会の確保」を阻害します。
従って別の方法を考える必要があり、具体的には「注2」の前半にあるように、個人破産については「裁判所の掲示場への掲示や裁判所設置端末での閲覧のみ」による公告を行うこととすべきです。
以上