【パブコメ】特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部を改正する政令案等についての意見

 2022年12月29日

消費者庁取引対策課 宛

特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の
一部を改正する政令案等についての意見

主婦連合会

※「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」等に関する意見募集については、こちら

1.【該当箇所】
特定商取引に関する法律施行規則(案)
10条1項4号

【意見】画面サイズ4.5インチ以上の電子機器であれば許容されると規定されているが、これでは法定記載事項を一覧することができない。法定記載事項が一覧できる大きさ、すなわちA4サイズ程度以上の画面の電子機器(最低11インチ程度)となるよう規定を変更すべき。

【理由】
特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会(以下「検討会」)報告書6ページに「書面並みの一覧性(=面積)を有する形で交付書面と同様の内容について表示可能な機器を、消費者自らが通常使用できるものとして有すること」とある。検討会報告書の結論を踏襲すべき。画面をスクロールして拡大する操作を何度も繰り返さなければクーリング・オフの記載を発見することができないような場合、クーリング・オフ制度を告知する機能は果たされず、気づかないうちにクーリング・オフ期間が過ぎてしまう懸念がある。
    

2.【該当箇所】
該当箇所なし

【意見】電子メールによる提供の場合、消費者に送られてきた電子データの重要性を認識させる観点から、電子メールの件名表示及び本文冒頭の表示について、具体的な記載方法を政省令またはガイドラインで明記すべきである。

【理由】
・検討会報告書6ページに「電子メールによる提供の場合は、件名表示を、消費者にその重要性を認識できるようなものにするとともに、本文冒頭で、より詳しい注意事項を記載すべき」とある。政省令案にはこの点の規定が見当たらない。電子メールの添付ファイルを開いて内容を読もうとする行動に進むことを促すため、政省令またはガイドラインに、件名表示及び本文冒頭の表示について、消費者にその重要性を認識させる観点から、具体的な記載方法を明記すべきである。
 ・電子メールの添付ファイルに契約条項を記載したデータを添付して送信されても、その重要性を理解していない、あるいは重要性が伝わっていない一般消費者は、添付ファイルを開かないままクーリング・オフ期間を経過するおそれが強い。

3.【該当箇所】
該当箇所なし

【意見】
電子機器の画面に契約条項を分かりやすく表示するために、電子データによる契約条項の提供に際しては、電子メールの添付ファイルや事業者のWebサイトに掲載する契約条項の表示方法について、例えば、スクロール操作が最小限で済むように工夫すること、契約条項が読みやすいような文字の大きさを確保することなど、明瞭に記載されるよう表示方法をガイドライン等に具体的に規定することが必要である。とりわけクーリング・オフ事項は、契約を特定する事項に近接して表示すること、赤字・赤枠で記載すること、他の記載部分に比べて活字のポイントを1~2段階大きくすること、クーリング・オフ通知の送信先となる事業者のメールアドレスを近接して表示することなどを、省令又はガイドラインで具体的に規定すべきである。尚、視覚障がい者に配慮した国際規格に則ったデジタル文書にすること(例:読み上げソフトに対応できる仕様とする等)や、色弱者が判別できるようなカラーユニバーサルデザインを採用することも検討すべきである。

【理由】
・脆弱な消費者も含めすべての人がクーリング・オフ制度の存在及びその行使方法を容易に認識できるように明瞭に表示することが必要。
・契約書面については、現行省令5条3項及び6条6項により、8ポイント以上の活字を使用し、クーリング・オフ事項は赤字・赤枠で表示するなど、分かりやすい表示方法が省令に明記されているのに対し、電子データの提供の場合はこれらの記載事項に関する具体的な規定がない。 

4.【該当箇所】
特定商取引に関する法律施行規則(案)
第10条第7項

【意見】電子化の承諾を得たことを証する承諾書面の交付義務規定は極めて重要であり賛成する。

【理由】
・書面交付義務に変えて電子データで提供することは消費者が契約内容やクーリング・オフ規定を気づきにくくなるおそれがあるため、真意に基づく承諾を確保するために、承諾書面の交付義務は必要な規定である。

5.【該当箇所】
特定商取引に関する法律施行令(案)
第4条第3項

【意見】書面に代えて電子データを提供する場合、事業者が、消費者が電子メールを受信したことや、契約データを支障なく閲覧できる状態にあることを確認することを義務として定めた本規定は極めて重要であり賛成する。

【理由】
・電子データの到達時期(クーリング・オフの起算日)は消費者のメールサーバーに到達した時とされているため、消費者が契約データの到達に気付かないうちにクーリング・オフが進行する問題を防止するうえで、この確認義務規定は極めて重要であり、高く評価できる。
・書面交付義務及びクーリング・オフ制度の消費者保護機能が損なわれることを防止することに資する。

6.【該当箇所】
特定商取引に関する法律施行令(案)
第2条第1号

【意見】電話勧誘販売の定義のうち、勧誘目的を告げないで消費者から電話をかけるよう要請する方法に、新聞・雑誌、テレビ・ラジオ、Webサイトなどを利用する方法を追加したこの規定は、被害実態を踏まえた極めて重要な規定であり賛成する。

【理由】
・テレビショッピングなどで格安な商品を宣伝し、消費者が電話で注文しようとすると別の高額商品の購入を勧誘するケースなど、不意打ち勧誘の実態を踏まえて電話勧誘販売の適用対象を拡大する規定であり、被害実態を踏まえた極めて適切な改正である。

以上