【パブコメ】区分所有法制の改正に関する中間試案に関する意見

2023年9月3日

法務省民事局参事官室 宛

 

区分所有法制の改正に関する中間試案に関する意見

主婦連合会

「区分所有法制の改正に関する中間試案」について詳しくはこちら

「区分所有法制の改正に関する中間試案」に対する意見募集についてはこちら

 

◆第1 区分所有建物の管理の円滑化に関わる方策

【意見1】

1 集会の決議の円滑化

(1) 所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み

アに賛成です。

【意見の理由】

 20年後には築40年を超えるマンションが現在の約4倍という見込みが国土交通省から出されています。また、マンション総合調査結果(平成30年)によれば所在不明・連絡先不通になる空室の割合が10%を超えるマンションがでてきているという内容が公表されました。

現状を鑑みると、これら所在等不明区分者の方々について、安易に除外ということではなく、裁判所の関与など利益保護を図った上で、決議の方法を見直すなどの仕組みづくりは、将来を見据えて必要なことだと考えます。

 

【意見2】

2 区分所有建物の管理に特化した財産管理制度

(1) 所有者不明専有部分管理制度

ア~オの規律を設けることに賛成です。

【意見の理由】

人間関係の希薄化が加速するなか、一人暮らしの方が亡くなった場合など、相続人を探すことや、相続人が見つかったとしても遠方で手続きなどに時間がかかるケースが多発することが予想されます。従って、必要な規律であると考えます。

 

【意見3】

4 管理に関する区分所有者の義務(区分所有者の責務)

区分所有建物の管理に関する区分所有者の義務に関し、試案の通りに規律を設けることに賛成です。

【意見の理由】

家族構成、年齢、背景などが多種多様な所有者間で円滑に管理を行うためには、分所有法の中でこのような規律を設けることは必要と考えます。

 

【意見4】

5 専有部分の保存・管理の円滑化

(4) 区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組み

①「区分所有者は、国内に住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所を有する者のうちから管理人(以下「国内管理人」という。)を選任することができる。」との規律を設けることに賛成です。

【意見の理由】

国外にいる区分所有者が増えていることなどから、様々な支障が出ることが予想されます。区分所有建物の管理や様々な決議への影響を考慮し国内管理人を選任することができる規律を設けることに賛成です。

 

◆第2 区分所有建物の再生の円滑化を図る方策

【意見5】

1 建替えを円滑化するための仕組み

(1)ア①法定の多数決割合

【B案】基本的な多数決割合を現行法どおり区分所有者及び議決権の各5分の4以上とした上で、客観的事由がある場合には、多数決割合を区分所有者及び議決権の各【4分の3】以上とすることに賛成です。

 

【意見6】

1 建替えを円滑化するための仕組み

(1)ア② 客観的事由【β-1案】に賛成です。

 

◆第3 団地の管理・再生の円滑化を図る方策の以下

【意見7】

2 団地内建物の建替えの円滑化 

(1)ア①法定の多数決割合

【B案】に賛成です。

 

【意見8】

2 団地内建物の建替えの円滑化 

(1)ア② 客観的事由

【β-1案】に賛成です。

【意見6-8の理由】

急増する高経年マンションへの対策、局地的な災害で滅失した場合の建て替えに備える必要性に鑑み、また、建て替えに反対する少数者に対する配慮も考慮して、現行の5分の4は変えず客観的事由があったときには多数決割合を緩和することに賛成です。

 客観的事由については、㋐㋑㋒を3つにまとめたα案に㋓給水、排水その他の配管設備や㋔いわゆるバリアフリー化推進を追加したβ-1について賛成します。高経年化マンションにおいては「漏水・雨漏り」や「給排水管の老朽化による漏水」の理由として、修繕の不足が多く上げられています。

 

◆第4 被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策

【意見9】

1政令で定める災害により被災した区分所有建物の再建等に関する多数決要件の緩和

(1) 大規模一部滅失

ア~カのように多数決要件を緩和することに賛成です。

 

【意見10】

(2) 全部滅失

ア、イ、に賛成です。

【意見の理由】

現在の多数決要件は被災している区分所有建物も被災していない建物も同じ【5分の4】の賛成が必要とされています。一般の建て替えでも厳しいと言われる要件のままでは迅速な災害復旧は望めません。そのため要件緩和は必須と考えます。

また、被災した区分所有建物の取り壊しに関する制度として建物の解体費用として補助金申請を行う際に自治体によっては区分所有者全員の同意を求めるという例があるとされています。区分所有法上での多数決割合を参考に助成金交付組織には柔軟な対応を期待します。

被災区分所有法に基づく各種決議がなされた場合、マンション立て替え円滑化法に基づく仕組みが利用できず、再建決議等が行われても、円滑に再建を実現するために利用できる行政法上の仕組みがないということも判明しているので、合わせて早急に使いやすい仕組み作りを求めます。

 

 

2 大規模一部滅失時の決議可能期間の延長

【意見11】

現行1年とされているところ、【3年】を経過する日までの間とすることに賛成です。

【意見の理由】

専門家が建物への被害状況を診断する、建替え、復旧、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、取壊しなどの区分所有者間での合意形成、ディベロッパーなどの業者選定、設計・費用などの各種見積もり等の検討、集会決議(少なくとも2ケ月前に通知をし、1ケ月前には説明を開催)を区分所有者は被災した中対応していくことなり、1年という期限はかなり負担が大きいと考えられます。一方、被災区分所有法の下では共有物分割請求権が制限されることを考えると期間が長くなることは次の生活へ進もうとする状況を害する恐れもあるため【3年】という期間は妥当と考えます。

 

◆その他

【意見12】その他

高経年マンションには高齢者が住む比率も多いという調査もある中、住居は建て替えられ安全になっても移動の不便さが以前のままであれば、例えば、段差が多い建物、エレベーターなしの建物では高齢者のフレイルを進行させる要因になりかねません。費用面での増加が考えられますので助成金などの対策の検討をお願いしたいと思います。

また、すでに建て替え中の住まいに関しては住居支援などを行っている自治体があるということですが、全自治体で積極的な実施を求めます。

 

以上