2024年2月2日
内閣総理大臣
農林水産大臣 宛
「食料・農業・農村基本法」の改正への要望書
主婦連合会
農政の基本理念を示す「食料・農業・農村基本法改正案」と関連4法案の審議が進んでいます。基本法改正案は「食料安全保障の抜本的な強化」「環境と調和のとれた農業への転換」「人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持」が柱とされ、新法として、首相をトップとする対策本部を設置し、企業への輸入拡大要請や農家への生産転換指示を可能とすることや、AI等の先進技術を使ったスマート農業を減税等で支援する「食料危機時の対応方針」、また「農林水産物の輸出拡大への支援強化」が盛り込まれる方向が示されています。
国内外の情勢は大きく変化し、国内生産の拡大を基本とした持続可能な食料供給基盤の構築はまったなしですが、輸入に過度に依存し、効率を優先してきたこれまでの農政をおおいに反省し、国民一人ひとりに安全な食べ物が行き届くよう以下の点を要望します。
記
◇ 25年ぶりのたいへん重要な改正だが、これまでの審議状況など消費者への情報提供が十分とは言えない。食料供給や農業への関心を今一度高め、改正へ向けた国民的な議論が尽くされるようにすること
◇ 基本法の大きな柱に食料自給率の向上を掲げること。そのための具体的な対策やスケジュールについても示すこと
◇ 有機農業の推進を明示すること。農薬や化学肥料の規制強化も進め、人や環境に配慮した生産方法への転換をはかること。また、在来種を中心としたタネの保全と種苗の国内自給向上を図ること
◇ フードテックや生命情報工学等の新しい技術については、安全性を最優先に慎重に進められるべきであり、消費者への十分な情報提供や表示等による選択の権利を保障すること
◇ 学校給食を通じた社会づくりと農業の活性化はおおいに期待されることである。地産地消と有機食材の活用を広げるために必要な働きかけを積極的に行うこと
◇ 不測時の輸入指示、緊急増産要請等の考え方が示されているが、平時からの国内生産基盤の強化と備蓄の充実が重要である。何より海外依存からの脱却に向けた強い決意を表すこと
以上