2024年5月17日
サントリー株式会社
京浜急行電鉄株式会社
特定非営利活動法人ASK
主婦連合会
「京急蒲タコハイ駅」の呼称と駅ホームでの酒場開店の中止を求める申し入れ書
5月13日、京急公式Ⅹで以下の告知が行なわれ、駅や車内中吊り広告に以下が掲示されています。
サントリー株式会社と京急電鉄がタイアップし、5月18日〜6月16日、京急蒲田駅は「京急蒲タコハイ駅」と称し、5/18・19と6/8・9には駅ホームに京急蒲タコハイ駅酒場が開店するとの驚きの事態です。
私たちは、この企画に強く抗議し、中止を求めます。
【中止を求める理由】
1.アルコールの特性
アルコールは単なる嗜好品ではなく、含有されているエチルアルコールには、致酔性・依存性・発がん性・胎児毒性などさまざまなリスクがあるため、日本においても、「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、国の基本計画が第2期まで策定。今年2月19日には厚生労働省から「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」も公表されています。世界的には、2010年にWHOが「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を出しており、グルーバルな酒造会社はこれに賛同しています。
その状況を十分ご存知のはずのサントリー株式会社が、今回のようなマーケティング手法をとることに失望しています。
2.公共の場である駅をマーケティングのターゲットとする問題(交通広告の特殊性)
酒類の交通広告については、すでに「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」に車体広告など5つの留意事項が記載されていますが、これ以外にも様々な問題事例があるため、私たちは、2020年11月13日、ビール酒造組合に「交通広告の全面自粛を含む抜本的な対策を求める要望書」を提出。同組合からも前向きの検討を約束していただいています。サントリー株式会社は同組合の加盟社であり、当時、リスクマネジメント本部グローバルARS部ともお話をして、理解していただきました。
以下は、その要望書の抜粋です。
交通広告は、駅や電車を利用するときに意図せず目に飛び込む「強制視認性」が前提となっています。健康問題・社会問題を引き起こす側面をもち年齢規制もある酒類の広告にはふさわしくないと、私たちは考えます。この点を押さえずに自粛項目を追加するだけでは、イタチごっこになります。
アルコール健康障害対策基本法第6条に定める事業者の責務に則り、交通機関の公共性と酒類の特殊性の根本に立ち返って、交通広告の全面自粛を含む抜本的な対策を早急に検討されるよう強く求めます。
今回の抗議の主旨はまさに上記と同じです。
繰り返しますが、駅は不特定多数が利用する極めて公共性が強い場です。
乗客には、20歳未満、ドクターストップで禁酒・断酒中の人や飲めない体質の人もいます。
また、早朝からの通勤・通学や勤務の移動時に酒類広告はなじみません。
期間限定であっても駅の呼称を「京急蒲タコハイ駅」とするなど、公共性を完全に無視した愚行です。絶対にやるべきではありません。
また、酔ってホームからの転落、乗客同士のケンカやトラブル、駅職員への暴力など、鉄道会社は日ごろから酔客の対応に苦慮しているはずです。それなのに自らがホームで「京急蒲タコハイ駅酒場」を開店し、酔客を増やすとはどういうことでしょう。
鉄道は、乗客の安全を最優先にしていただきたいと思います。
以上