【パブコメ】現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会 中間取りまとめについて

現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた
消費者契約法検討会 中間取りまとめについて

主婦連合会

■意見1 全体

【意見】

 「消費者の脆弱性」を消費者契約法の重要な視点として位置付ける方向性を支持します。高齢化やデジタル化が進む社会において消費者の実態を踏まえ、誰もが状況によって判断を誤る可能性を持つという「消費者の脆弱性」の考え方が示されました。高齢者だけでなく、若者や現役世代も含め、誰もが不安や焦り、情報過多などによって適切な判断が難しくなるという認識を法制度の基礎に置いた点は重要です。

 一方で、多くの事項が努力義務や指針レベルにとどまっていることから、今後の法改正においては、実効性確保のため、義務化・取消権・解除権・差止請求等の法的効果をさらに検討すべきであると考えます。

【意見の理由】

 消費者被害の予防・救済を実現するには、理念や行動規範だけでなく実効的な権利救済手段が不可欠です。特に、消費生活相談の現場や裁判外紛争解決手続において活用可能な民事ルールとして整備されることが重要です。今後の法改正に向けては、配慮規定の実効性確保、深刻な被害からの救済制度の創設、解約・更新・契約変更に関する義務規定の導入、解約料規制の強化を重点課題として検討すべきであると考えます。

 

■意見2 p3

第1 消費者の多様な脆弱性への対応

【意見】

 消費者の誰もが脆弱性を有するという認識を消費者契約法の基礎に置く考え方に賛成いたします。ミニマム・スタンダードとして位置付けられる事項については、理念規定にとどめず、実効性のある規律とすべきです。あわせて、指針や差止請求制度等との連携により、事業者が配慮規定を軽視しない仕組みを整備する必要があります。

【意見の理由】

 従来の情報・交渉力の格差是正だけでは、デジタル化や高齢化が進む中で多様化・複雑化する消費者被害に十分対応できません。消費者が安心して安全に取引できる環境を整備するためには、消費者の脆弱性を前提とした規律が必要です。ミニマム・スタンダードとして位置付けられる事項については、理念規定にとどめず、消費生活相談や紛争解決の場面で活用できる規律とすることで実効性を持たせることが重要です。

 

■意見3 p13

2.契約の拘束力から消費者を解放する仕組み等

【意見】

 解放手段を設ける方向に賛成します。その上で、中間取りまとめは、深刻な結果が生じる場面の例として、認知症の可能性のある高齢者が生活のために蓄えた財産の多くを失う契約や住まいを失う契約を挙げていますが、極端な場合に限定されることなく、消費者の判断困難状態の程度、契約により消費者に生じる結果の重大性を考慮し、消費者にとってその契約の内容が明らかに不当であるかどうかという場合に契約の拘束力から解放されるよう、過度に救済範囲が狭くならない仕組みとするべきです。

【意見の理由】

影響の深刻さだけを考慮するのではなく、消費者にとってその契約の内容が明らかに不当である場合には救済される制度にすべきだからです。

 

 

■意見4 p13

2.契約の拘束力から消費者を解放する仕組み等

【意見】

 事業者が消費者の脆弱性を利用し、消費者の意思表示に不当な働きかけをした、あるいはなされるべき働きかけをしなかった結果として消費者が意思表示を行った場合の取消権を認めるべきです。成年後見人の包括的取消権の廃止を内容とする民法等の一部を改正する

法律案に対する衆議院法務委員会の附帯決議でも、消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して事業者が契約を締結させた場合などの対応について、法制上の措置を含めた検討を進めることが求められています。判断力が低下した認知症高齢者に対して、事業者が十分な説明や適切な配慮を行わずに高額な契約を締結させた場合など、消費者の意思決定における事業者の行為に対し、現行の「誤認」「困惑」に留まらず、消費者の広い意味での脆弱性に着目して、実効的な規定を検討する必要があると考えます。

【意見の理由】

消費者の自己決定を尊重する観点からは、契約の結果が生活に及ぼす影響の深刻さだけでなく、契約締結に至る過程において、消費者が十分に理解し、自らの意思に基づいて判断できる状況が確保されていたか、事業者がそのために必要な対応を尽くしたかを重視すべきだからです。より具体的には、事業者が消費者の脆弱性に配慮して、判断するための情報、時間、支援を得られる取引環境を用意したか、勧誘方法や取引の仕組みが消費者を脆弱な状況に追い込んでいなかったか、消費者の脆弱性を利用しようとしていなかったか、といった点が、契約の拘束力からの消費者の解放に関連して問われるべきと考えます。

 

■意見5 p16

第2 消費者契約の各過程に関する必要な規律

【意見】

 継続的契約に関する規律の導入に賛成します。特に解約妨害の禁止を明文化し、適格消費者団体による差止請求の対象とする方向性は、実効性確保の観点から重要であると考えます。

【意見の理由】

 サブスクリプション契約を中心に、解約方法が分かりにくい、解約できないという相談が急増しています。消費者保護の観点からは事業者の説明や情報提供について実効性確保を位置付けるべきであると考えます。

 

■意見6 p20

2.契約期間の更新に関する規律

【意見】

 自動更新契約についても、消費者が契約の存在自体を忘れてしまうことが少なくないことから、更新の時期、更新後の契約期間、解約可能期間に加え、更新を回避するための手続や解約料等の負担の有無についても分かりやすい通知を求めます。

【意見の理由】

 消費者が契約の存在を忘れたまま契約が継続し、不要な支払いを続ける事例が多発している状況があります。消費者が契約継続の是非を適切に判断できるよう、事前通知を徹底する必要があります。

 

■意見7 p21

3.契約の変更に関する規律

【意見】

 契約内容の不利益変更については個別通知義務を支持します。特に料金の引上げや解約条件の変更など重要事項の変更については、消費者が契約継続の可否を適切に判断できるよう、十分な検討期間を設けた上で個別に通知するとともに、契約を見直し離脱する機会を保障すべきです。

【意見の理由】

 一方的な利用規約変更によって消費者が著しい不利益を受ける事例があります。単なる通知のみでは十分な保護とはいえず、消費者に実質的な選択の機会を保障することが必要です。

 

■意見8 p23

4.継続的な消費者契約の当事者である消費者の死亡時の対応手順に関する規律

【意見】

 遺族等が契約者の死亡後も契約内容を把握し円滑に解約できる仕組みを整備すべきです。事業者側の対応手順を整備し、周知することが重要です。

 あわせて、事業者ごとに異なる手続によって遺族等の負担が過度に大きくならないよう、分かりやすい手続の整備を進めるべきです。

【意見の理由】

 契約内容の確認方法や解約手続きをわかりやすく整備し、遺族等が気付かず、死亡後も契約が継続し料金請求が続くトラブルが発生しないようにするべきです。

 

■意見9 p25

第3 「解約料」の実態を踏まえた実効的な仕組み

【意見】

 検討会でさまざまな案が検討されましたが、解約料の規定の見直しについては先送りとされたことは残念です。今後の法改正に向けて、立証責任の転換を含めた制度改正の検討を継続すべきであると考えます。

 また、消費者が解約料の妥当性を判断できるよう、事業者は解約料の算定根拠や発生条件等に関する情報を適切に提供すべきです。

【意見の理由】

「平均的な損害」の立証が消費者にとって極めて困難であり、不当な解約料の是正が進みにくい状況です。また、契約締結時に解約料の算定根拠や発生条件が十分説明されていないことで、契約解除時になって初めて高額な負担を認識する事例もみられます。消費者が解約料の妥当性を判断できるよう、解約料の透明性を確保する必要があります。

 

■意見10 p30

3.事業者・事業者団体が定める自主規制等の活用

【意見】

 自主規制については一定の意義を認めるものの、消費者保護の中核はあくまで法的規律です。自主規制は法規制を補完する位置付けとすべきと考えます。

【意見の理由】

 自主規制のみでは消費者保護にばらつきが生じ、悪質事業者への対応が困難になります。消費者保護を確実なものとするためには、法的規律を基本とし、その上で自主規制を活用することが適当です。

 更に、不当条項規制の実効性向上の観点から、いわゆるグレーリスト方式についても引き続き検討を進めるべきです。消費者が契約条項の有効性を判断することは容易ではなく、事業者にとってもどのような条項が不当とされる可能性があるかが必ずしも明確ではありません。不当条項該当性についての予見可能性を高めることは、事業者による自主的改善を促進するとともに、適格消費者団体による差止請求制度の実効性向上にも資すると考えます。

 

■意見11 p31

第4 横断的な事項 1.法目的の在り方

【意見】

 高齢化やデジタル化の進展により、消費者被害のリスクは誰にでも生じ得るものとなっており、一部の特定の人だけでなく、すべての消費者が状況によって脆弱な立場に置かれる可能性があります。そのため、情報・交渉力格差の是正に加え、「消費者の脆弱性」という視点を法の目的に明確に位置付けることに賛成します。また、消費者が安心して取引できる環境の整備に向けて、事業者、消費者団体、福祉関係者その他の関係主体が連携して被害の予防及び回復に取り組むという視点についても法目的に反映すべきです。

【意見の理由】

 法目的に消費者の脆弱性を位置付ける方向性に賛成します。ただし、その理念が実際の規律や救済制度に反映されなければ意味がありません。今後の制度設計に当たっては、消費者の脆弱性を踏まえた予防・救済の仕組みを具体化していくことが必要です。

 

以上