《果物を強調した低アルコール飲料の表示についての要望書》
2001年11月26日
《公正取引委員会委員長、国税庁長官、日本洋酒酒造組合 宛》
果物を強調した低アルコール飲料が急激に増え、コンビニやスーパーの棚を埋めています。アルコール飲料であることがわかりにくく誤飲を招く、未成年者の飲酒を誘引する、果汁飲料や清涼飲料では規制されている表示がまかり通っているなど、さまざまな問題をはらんでいるのはすでにご承知のとおりです。最新の厚生労働省の調査(2000年度)でも、中学生の約3割、高校生の半数以上が、よく飲むお酒として「果実味の甘い酒」をあげているのです。
日本アルコール問題連絡協議会と主婦連合会は、関係省庁・団体に対し再三要望書を提出しています。また、国民生活センターも注意を喚起していますし、公正取引委員会もメーカーと消費者の意見交換会を開き日本洋酒酒造組合に対策を促しました。しかし、これだけの批判を受けても、メーカーがこれらの商品の表示を改善する気配はありません。それどころか、さらに清涼飲料的に改悪されたものまであります。
特定非営利活動法人アスクの「果物を強調した低アルコール飲料の調査」(19種)によると、果汁飲料や清涼飲料では公正競争規約によって厳しく規制されている事項が、アルコールをちょっと混ぜると何でもありになってしまう実態がわかります。
?果汁飲料や清涼飲料では義務づけられている、果汁%の表示がないもの/19種中16【8割強】
?果汁飲料や清涼飲料では規制されている「果実の絵表示」(小さな図案は除く)があるもの/19種中13【7割弱】、うち缶全面に大きな果物の絵を表示しているもの/4
?果汁飲料や清涼飲料では規制されている「天然・生・フレッシュ」の表示があるもの/19種中14【7割強】
?絵柄に、果汁飲料や清涼飲料では規制されている「果汁のしずく」を用いているもの/5【3割弱】
これらの商品には、名称をローマ字表記したものが多く、日本語表記だけを読むとアルコール飲料であることがまったくわからないものが8種【4割強】もあります(○○サワー、○○ハイは、子どもや高齢者にはアルコール飲料であると認知しにくいため含めた)。つまり消費者は、お酒マークと小さなアルコール分表示だけで、アルコール飲料であることを判別しなければならないのです。「お酒マークさえ付ければいい」といわんばかりの商品がいかに多いか、その実態は驚くべきものがあります。
私たちは、この調査結果をふまえ、関係省庁・組合に以下の点を要望します。
1)果汁飲料・清涼飲料と誤認されやすい名称は使わないこと
2)名称中にアルコール飲料であることがわかる言葉(サワー、ハイは認めない)を入れ、必ず日本語で標記すること
3)「果汁入り」と表示する場合は、アルコール飲料にも、果汁飲料・清涼飲料の果汁表示に関する公正競争規約をそのまま適用すること
4)お酒マークのポイントを上げ、より目立たせること