【要望書】《西川公也氏の聖域放棄発言に抗議し、聖域を守れないTPP交渉からの即時脱退を政府に求める要望書》

申し入れ・要望

 2013年10月9日

内閣総理大臣
自民党TPP対策委員長 宛

西川公也氏の聖域放棄発言に抗議し、聖域を守れないTPP交渉からの即時脱退を政府に求める要望書

TPPに反対する弁護士ネットワーク
主婦連合会
TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会

去る6日、TPP交渉会合が開かれていたインドネシアのバリ島を訪れていた西川公也・自民党TPP対策委員長は当地で、農産物の「重要5項目」についても細目では関税撤廃の対象になる品目があり得るとの発言を行った。こうした発言は以下述べるように、自民党の選挙公約を反故にする国民への背信行為であるとともに、自民党や衆参両院農林水産委員会の決議を踏みにじるもので、決して容認できない。

本年3月、西川氏が委員長を務める自民党TPP対策委員会は農産物重要5項目を「聖域(死活的利益)」として確保することを政府に求める決議をした。聖域放棄を容認するに等しい西川氏の発言がこの決議に反することは明白である。

また、本年4月に衆参両院農林水産委員会が採択したTPPに関する決議でも、農産物5項目などの聖域確保を最優先すると決議している。西川氏の発言がこの決議を蹂躙するものであることも明白である。

西川氏の発言は重要5項目を586品目に細分して関税撤廃の影響を精査する意向を述べたにとどまると受け取る向きもある。しかし、上記の決議からは細目ベースでなら一部の品目については関税撤廃を容認すると解釈できる余地はない。むしろ、一部の細目でも関税撤廃を容認すれば、それが「ありの一穴」となって次々と関税撤廃の要求を突きつけられることになりかねない。

そもそも西川氏ら自民党議員は何のために会合が開かれた現地に出向いたのか? 政府交渉団が参加国交渉にあたって、上記の公約・決議を遵守するよう監視するために出向いたのではなかったのか? にもかかわらず、一行の責任者たる西川氏が公約破り、決議無視の先鞭をつけるかのような発言を行ったことは言語道断である。

加えていうと、去る10月2日に全国農業協同組合中央会などが日比谷野外音楽堂で開いた集会であいさつに立った石破茂自民党幹事長は3,500名を超える参加者に向かって「農産物重要5項目は必ず守る」と断言した。それから1週間も経たない時期に自民党のTPP対策委員長が、聖域放棄を意味する発言を公にしたのは農業関係者への裏切りと言っても過言でない。

さらに重大なのは、甘利TPP担当大臣が西川発言に対し、「大変ありがたい」と即座に呼応した点である。これでは、政府が西川氏と事前にしめし合わせて公約違反、決議無視のレールを敷こうとしたと見られても致し方なく、政府のいう強い交渉力がまやかしに他ならなかったことを露呈したものである。

私たちはこうした事態を早くから予見して、交渉への参加に反対し、交渉からの脱退を要求してきたが、今や国会決議に照らしても聖域が守れない場合は撤退を辞さないとの決議を実行すべき段階に至ったことは明らかである。

以上から、私たちは西川公也氏ならびに自民党に対し、党の公約、国会決議に反する発言を撤回するよう求めるとともに、政府に対しては聖域・国民益を守れないTPP交渉から即時脱退することを要求する。

以上