【声明】「新たな訴訟手続」の新設に反対します

下記声明を発表しました。

2021年12月15日

声 明
「新たな訴訟手続」の新設に反対します

主婦連合会
会長 河村 真紀子

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
事務局長 浦郷 由季

公益社団法人 全国消費生活相談員協会
理事長 増田 悦子

 

私たちは、現在法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会において審議されている「新たな訴訟手続」の新設に反対します。

「新たな訴訟手続」は判決までの期間について当事者の予測可能性を高めるために、争点整理を集中的に行い、これを充実させつつ、判決に至るまでの手続きを適正かつ迅速に進行することができる制度とされています。裁判が迅速に行われることはとても大事なことですが、この問題はIT化関係の部会で審議されるべきことではなく、別途検討委員会を設けるなどして、十分な時間をかけて、現行の裁判がなぜ時間がかかっているのかの原因を探り、問題点を明らかにし、懸念を取り除くため方策を含め、検討を行うことが必要と考えます。

迅速な裁判を望まない当事者はいません。しかしながら、初めて裁判を利用するなど、裁判に不慣れで、裁判の見通しを正確に把握できない一般国民にとっては「新たな訴訟手続」のリスクが認識できずに、迅速に結審すると謳われるこの制度を選択してしまうことが予想されます。この場合のリスクとは、争点整理を集中的に行うための情報や証拠の質と量の確保、裁判に集中的に取り組む時間と労力の捻出、裁判に慣れている適切な訴訟代理人(弁護士)を依頼する経済的負担等です。

「消費者契約に関する訴え」は除外することが明記されていますが、契約が無い消費者関連の案件も多くあり、また裁判に不慣れな中小零細企業などがこの制度には不向きな場合も考えられます。

現状の民事裁判には、結果的に数年にわたる長い裁判がある一方で、数ヶ月から

10ヶ月程度で結審する短い裁判もあります。「新たな訴訟手続」では、そもそも迅速化を求められている長い裁判が6ヶ月で結審するということは想定されておらず、根本的に民事裁判の迅速化がはかれる制度とはなっていません。

この「新たな訴訟手続」は、当事者の双方が同意しても、裁判所が審理及び裁判をすることが困難であると判断すれば用いることができない制度となっていますが、その判断のためには、内容の十分な吟味が必要で、裁判官の不足など現状の裁判を迅速に行うことが困難な課題を解決しないままにこの制度を導入することは、一般の裁判を一層遅延させる原因ともなりかねません。

「新たな訴訟手続」がどういう当事者のどんな案件に適しているかを見極め、限定した上での制度とすることなど、IT化関係部会ではない、独立した検討会等で十分な時間をかけて検討して頂くことを要望し、現段階での「新たな訴訟手続」の新設に反対します。

以 上