【要望書】若者を対象にした「サケビバ!日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテ スト」 の中止を求める緊急要望書

申し入れ・要望2022年 8 月 26 日

国税庁長官、厚生労働大臣 宛

特定非営利活動法人 ASK
公益社団法人 全日本断酒連盟
日本アディクション看護学会
一般社団法人 日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会
公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会
公益社団法人 日本社会福祉士会
公益社団法人 日本精神保健福祉士協会
イッキ飲み防止連絡協議会
主婦連合会

若者を対象にした「サケビバ!日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」
の中止を求める緊急要望書

最近の報道によって、国税庁が若者の飲酒需要の喚起を図るため、 若者を対象にした「 サケビバ!日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」を主催していることを知り、大変驚いています 。

アルコールは少量であってもそれなりのリスクがあり、飲酒習慣をもたないことは健康上望ましいことで す 。とくに若い世代の飲酒量が減ることは、アルコール健康障害及びそれに関連する問題の効果的な低減につながり 、医療費等の社会的損失の抑制にもなります 。
これは、むしろ好ましい状況であって、 私たちは、 国が酒税確保のためにわざわざ税金を使って 、リスクが高い 若者の飲酒需要を喚起すべきではないと考えます 。

しかも、「 酒類業界の活性化や課題解決に資するプラン 」の 例 として、「 若年層の需要喚起に向けた新たなサービスやプロモーション手法 」「 AI やメタバースを活用した新しい販売手法の確立」などを挙げています。 これは、新たな問題を生み出すリスクのある手法を、国が税金を使って推進することになりかねません 。

アルコール消費の減少は、少子高齢化の日本だけでなく、健康志向が強まっている先進諸国に共通する現象です。別の言い方をすれば、これまでの世代が飲みすぎており、多くの健康障害や関連問題を引き起こしていたわけです。
国税庁としては、酒税の確保だけではなく、社会的損害の減少も含めた総合的な視野を持っていただきたいと思います。

酒類業界では消費者の動向や世界的な傾向を見据え 、飲まない層や少ししか飲まない層のニーズに沿った商品開発をする動きも出ています。これらは公衆衛生上好ましい傾向 で、このような動きをこそ推進していただきたいのです。

私たちはアルコール関連問題に取り組む団体として、以下の根拠をもとに、 国のアルコール健康障害推進基本計画 に逆行して 若者をターゲットとする当事業の中止を強く求めます。

根拠1 アルコール健康障害対策基本法に基づく「アルコール健康障害対策基本計画」
のアルコール健康障害対策基本計画 では、若者はハイリスク層と認識されており、 重点課題の対象になっている 。第1期基本計画では、発生予防の重点課題に、特に配慮を要する者として「未成年者、妊産婦、若い世代 」が挙げられていた 。第2期基本計画でも、発生予防の重点課題 に 、「 特に健康影響を受けやすいと考えられる女性・若年者・高齢者など、特性に応じて留意すべき点等をわかりやすく啓発を進める」と記載されている 。国がその層をタ ーゲットに、飲酒需要喚起に向け新たな手法を開発推進するのは、基本計画に逆行している。

根拠2 コロナ禍でも、 30 歳未満 の急性アルコール中毒搬送数が半数を超えている
東京消防庁によると、コロナ禍の緊急事態宣言で厳しい行動制限が課せられた2020 年に、11,291 人 が急性アルコール中毒で救急搬送されており、年代別にみと、 20 歳代が群を抜いて多く、30 歳未満の合計が 50 %と半数に上る(20 歳代では女性の比率が 約 5 割 )。また、感染防止のための行動規制と急性アルコール中毒発生の抑制は連動しており、規制が緩むと救急搬送が増えることもわかった。

根拠3 :飲酒運転死亡事故が最も多いのは 30 歳未満 である
警察庁は、飲酒死亡事故 について、免許保有者 10 万人当たり年齢層別比較でみると、 10 代~ 20 代が高いと、警鐘を鳴らしている。コロナ禍でも、若者による飲酒死傷事故は全国各地で起きている。

根拠4 :WHO「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」
領域6アルコール飲料のマーケティング で、「飲酒可能法定年齢に達していない青少年を同じマーケティングにさらすことなく、若年成人の消費者のみをターゲットとするのは困難である( 30 )」とし、「 若者を対象にした活動に関連した販売促進を制限あるいは禁止すること31. iv )」という政策選択肢と介入策を挙げている。

根拠5 :WHO「公衆衛生上の優先事項としてアルコールの有害な使用を低減するための世界戦略を効果的に実施するアクションプラン( 2022-2030 )」
今年5 月のWHO総会で採択されたアクションプランで、「 近年、欧州の多くの国や高所得国の一部の国において、若者のアルコール摂取量が減少している」ことを挙げ、「この傾向を利用することは、公衆衛生政策やプログラムにとって大きなチャンス」と強調している。

以上