【意見書】《通信傍受法案について》

《通信傍受法案について》
1999年7月30日

6月1日衆議院で可決された「組織的犯罪対策三法案―組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案」は、犯罪捜査に対する信頼よりも私たち市民の平穏な生活に無用な不安と疑心暗鬼を醸成しています。

 通信傍受については、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密はこれを侵してはならない」としている憲法21条の精神に反するものであり、通信の秘密を解除するためには、国民の間で相当噛み砕いた議論とその結果としてのコンセンサスがなければなりません。

 犯罪捜査のためとして、家庭やオフィスの電話、携帯電話、パソコンを使ったEメールやインターネット通信など、事件に関係ない一般の会話も当然傍受されることや具体的な方法と妥当性等について、どれほどの人々がこれを容認しているのか疑問です。現に通信の秘密の保護(電気通信事業法第4条)が課せられている電気通信事業者や従業員からも問題であるとの指摘がされています。

 私たちは、このような人権侵害をもたらす恐れの強い通信傍受法の制定に反対します。