【意見書】《特定保健用食品(トクホ)の信頼性担保に向けて制度の抜本的な見直しを求めます》

申し入れ・要望

2016年11月11日

消費者担当大臣
消費者庁長官
消費者委員会委員長 宛

特定保健用食品(トクホ)の信頼性担保に向けて制度の抜本的な見直しを求めます

主婦連合会

 日本サプリメント(株)の販売していた特定保健用食品(トクホ)6商品に表示通りの成分が含まれていないにもかかわらずその後も販売を続けていた問題で、消費者庁は9月23日、これらのトクホ6商品の表示許可を取り消しました。また、同様の問題の再発防止を目的として、トクホ全商品について成分含有量、販売実績、失効予定の調査を実施し11月1日に調査結果が発表されました。それによると、現在販売されているトクホは366商品あり、調査結果が間に合わなかった7商品を除く残り359商品について、成分含有量に問題はなかったとのことです。しかしながら、消費者庁は調査にあたって「第三者機関による検査データが望ましい」が「そのようなデータがない場合は、自社分析でも差し支えない」としていたため、359商品の調査結果のうち半数を超える195商品は、販売している事業者による自社分析によるものでした。問題の再発防止のために行った調査結果の過半数が自社データの報告では、トクホの信頼回復に足る調査とはいえないと考えます。

 

 また今回の調査で判明したもうひとつの問題は、トクホの許可を得ている全1271商品のうち、7割を超える905商品(連絡のとれない会社の商品を含む)が現在販売されていないということです。そのうち事業者が許可を取り下げる「失効届」を出す予定との回答を得たのは196商品にすぎません。

 主婦連合会はトクホに更新制を再導入すべきとの意見をこれまでもあげてきました。更新制度がない上に、販売をしていなくても事業者からの「失効届」が出されなければ永久的に許可が継続されることになる現状は制度的に欠陥があると考えます。

 上記をふまえ、下記のとおり要望いたします。

 

 

1 日本サプリメント(株)については、成分含有量が表示に満たない、あるいはまったく含有していない商品を、そのことを知りながら一定期間販売を続けたことで、その間商品を購入した消費者は不利益を受けています。許可の取り消しにとどまらず景表法等、法令を厳格に適用する事を望みます。

2. トクホ商品の含有成分調査に関しては、早期に第三者機関による再チェックを望みます。

3. 来年度に試買調査が予定されているようですが、調査手法、結果の信頼性、対象商品の網羅性など効果が最大限に発揮できるよう検討し、速やかに実行に移し、試買調査結果は高い透明性をもって公表してください。

4. 更新制度の復活を含め、トクホの信頼性を継続的に担保できる仕組みの検討に早急に着手してください。更新制度が規制改革で廃止されたという過去の経緯から、制度復活への否定的見解を長官が会見で述べておられますが、消費者からの信頼を失えばトクホという制度そのものの存在意義も必要性も失うことになります。信頼性を継続的に担保するためのトクホ制度の抜本的見直しを求めます。

5. 国が有効性や安全性を審査した上で許可マークと効果の表示を認めていることで、健康食品の中でも信頼性が高いと認識されてきたトクホへの信頼が大きく損なわれた今回の問題は、健康食品分野全体にとって極めて重大な事態です。
消費者は表示を見て、それを信じ商品選択を行なうしかありません。その表示の信頼性を制度的に担保することは消費者庁の大きな存在意義のひとつです。
従ってトクホのみならず、機能性表示食品、栄養機能食品など各種保健機能食品制度を一元的にとらえ、消費者の安全と安心、適正な表示に基づく消費者の選択の機会の確保の観点から、抜本的に改善する見直しを要望します。

以上